ミュージックビデオの作り方(関和亮編)
3週間前にあった関ジャムという番組のテーマが「観て楽しい&裏側はもっとスゴイMVの世界」というものだった。
ゲストが児玉裕一さん、関和亮さん、岡崎体育さんという、自分が大好きで憧れのクリエイターさん3人だったのでめちゃくちゃ楽しみにししていた。先日やっと録画していたものを見る時間があったのでその中でも1番おもしろかった部分をnoteに書いておく。
ちなみに児玉裕一さんは椎名林檎さんの旦那さんでもあり、リオオリンピック閉会式引継ぎ式のムービーも手がけた日本を代表する監督。最近の椎名林檎さんのMVはほとんど児玉監督が手がけている。
関和亮監督はサカナクションのアルクアラウンドのMVで文化庁メディア芸術祭優秀賞も受賞した監督。他にもPerfume、星野源さん、米津玄師さんなど名だたるアーティストのMVを製作している大物監督。
岡崎体育さんは自身の「MUSIC VIDEO」という楽曲のMVでその名を轟かせた音楽業界の風雲児。このMVは文化庁メディア芸術祭新人賞を受賞。映像監督は寿司くん(ヤバイTシャツ屋さんのボーカルこやまさん)。
MV制作の裏事情
MVの制作費や制作過程ってあまり情報がなくて謎に包まれていたので今回のテーマはめちゃめちゃ興味深くて楽しくて勉強になった。
児玉監督や関監督のMV制作予算は200〜300万円くらいだそうだ。MV作成の準備や撮影ってかなりの時間を費やすだろうしCG制作や編集作業もさらに時間がかかると思う。この方々のあのクオリティのMVでこの制作費って正直めちゃめちゃ安いと思う。ただでさえ厳しい状況の音楽業界だから仕方ないのかな...世知辛い。
ちなみに体育くんは「おれのなんて6万円...」と自虐してましたがその費用であれ作って賞まで取っちゃうんだから本当にすごい。
スマホ対応で気をつけていることについて、児玉監督は作ったMVを最終的にスマホで再生して色味をチェックするとのこと。スマホで見たときにどう見えるかはめちゃめちゃ意識して作るとのこと。
体育くんは、最近の子はYouTubeで見てよくなかったらすぐ飛ばしちゃうので冒頭30秒を大事にしているとのこと。
関監督代表作品:サカナクション「アルクアラウンド」
このMVを見たことがない方はまず一度見てほしい。
このMVの何がすごいかってこのクオリティの映像を全編ワンカットで撮影しているということ。そのことを初めて知ったときはすごく興奮したのを覚えている。
関監督のMV制作過程
1.レコード会社からオファー2.アーティスト本人と打ち合わせ3.企画書や画コンテでプレゼン4.ロケハンやシミュレーション5.撮影(基本1日)6.編集(1週間〜1カ月)
流れはなんとなく想像していた通りだけど撮影を基本1日で済ませるのはびっくりした。でもたしかにたくさんのスタッフのスケジュールを合わせてあの予算内で収めるにはなんとしてでも1日内で完結させるしかないのかも。厳しい。
アルクアラウンドMV サカナクションからの要望
1.歌詞を映像内で見せたい2.ネットで何度も観てもらいたい
1.の要望からあの流れる歌詞が発明されているし、2.の要望からMVラストから冒頭シーンへループする演出が入れられている。
お客さんの要望を聞いてそれをしっかり作品に結びつけるっていうのはWebデザインと同じだなーと思った。というよりどんな仕事でも同じだ。
アルクアラウンドMVのアイデアはどこから来たか?
アルクアラウンド↓アルク + アラウンド(歩きまわる)↓ア + ルックアラウンド(探しまわる)
MVのアイデアを出すためにアルクアラウンドのタイトルを見ていたら上の2つの意味が込められていることに気づいたとのこと。そこからあの歩きながら歌詞を探しまわるMVが誕生したのだ。
アラウンドの方はわかってたけどルックアラウンドの方はファンなのに今まで気づかなかった!関監督も「自分で気づいたけど最初から教えてくれと思った」と言っていて笑った。
バラバラ文字のプレゼン資料
アルクアラウンドMVの肝となるバラバラ文字について、関監督は小さな模型を作って仕組みをメンバーにプレゼンしたそうだ。この模型作りたい。
その他の苦労話
アルクアラウンドのMV撮影はセッティングだけで12時間。サカナクションのメンバーは控え室に入ってから10時間待機していた。曲のイメージから絶対に夜のうちに撮ってしまいたかったため撮影は夜から深夜、深夜から朝方にかけてやっと撮れた。一番苦労したところはカメラの位置で、足元ではなく空中に針金と白いボールでバミリ(位置を示す目印)をした。
まとめ
この番組めちゃめちゃ勉強になりすぎてバラエティー番組なのにメモを取る手が止まらなかった。
お客さんの要望をしっかり聞いて、頭をフルに使ってアイデアを出して、プレゼンして、素材やネタを集めて、制作してっていう一連の流れや大切なことはMV制作にしてもWeb制作にしても同じだなーと思った。
この三人が並んでMV制作について語る番組なんてこの先ないと思う。本当に貴重な回だった。次回は児玉監督編について書く。
2018.05.10追記:書きました。続編もぜひ↓
スキとかフォローとかしてもらえたら僕は幸せです。