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「最後の一杯 依存症を克服した医師の手記」を読んで

久々に参考になるアルコール関連の本を読んだので、拙いながらあらすじを交えて感想なんぞもシェアしてみたいと思います。ちょっと文章くどいし色々ヘタクソなのは勘弁してください(笑)

本書はフランスの内科医であり、アルコール依存症当事者でもあるOlivier Ameisenさんという方の体験及び医学的な考察を綴った記録なります。

原書が書かれてから10年以上経過してますが、日本では2022年に初版が刊行されており、我が国においてはまだまだ新鮮といえる情報/目線が含まれております。

著者のOlivier医師は医学生として優秀な成績を納め順調なキャリアを歩み出します。

しかし、やがて自身のクリニックを開業して独立していく中での経営によるストレス苛まれ、飲酒が常態化していったようです。
ここら辺は中島さもさんの自伝的小説「今夜、すべてのバーで」で語られている状況にも近いものがあるのかなと思いました。

また、自身のユダヤ系のルーツや両親の戦争体験にも語られており、依存症に至る根深いルーツを感じさせます。

日本だとお酒を飲んで酔っ払うのは全くと言っていいほど問題になりませんが、海外だとどうもかなり強烈なスティグマがあるようです。
自助グループも認知行動療法も試すものの、度々多量飲酒に陥るという日々…。

そんな中で筋弛緩薬であるバクロフェンという薬にアルコール依存症の治療に有効なのではないかという論文をネットの山から発掘し、リサーチを開始します。

自分の身体で効果を感じた著者は、治験など様々な方法でその効果を立証し、現在フランスではアルコール依存症治療薬として承認されています。

後書きでも加えられているように、この本の存在と言うのはとても大きな功績だったのではと思います。

残念ながらどの国においても新しい薬が承認されるには、いかに有用でも急用の事態でも、その実証のために大変なプロセスを踏まなければなりません。それは昨今のコロナ禍で誰もがよくわかったことであろうと思います。

付け加えて、もう1点感じたことは、フランス人の著者がアメリカでいざリハビリ施設に入ろうとか適切な医療を受けようと思った際に、国家による手厚いサポートがない状況を突きつけられた思いがあります。
日本には皆保険制度があるというのは大きなアドバンテージなのかなとも思いました。

残念ながらAmeisen氏は2013年に亡くなっておられるようですが、この本と医学的な功績は同じアルコール依存症という問題を抱えた人たちへの希望であり続けるのではないかな、と思いました。

長いですね、すいません(笑)

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