人生ワンカット

映画『カメラを止めるな!』で一大センセーションを巻き起こした上田慎一郎監督。テレビ番組の中でおっしゃった一言が私の心に刺さった。

「人生ワンカットですからね」

『カメラを止めるな!』の冒頭は37分間のワンカットゾンビ映画。カメラを回し始めたら止めることはできない。入念なリハーサルを重ねた上で、出演者とスタッフの緻密な連係プレーが必要不可欠となるが、ハプニングも起きるだろうし、それがいかに至難の業であったかは想像に難くない。

そして、人生。「人生劇場」という言葉は小説のタイトルから生まれたようだが、例えば人生は映画みたいだとは私も以前から思っていた。生まれてくれば親や友達やいろんなキャストが揃っていて、恋愛あり、ハプニングあり、いろんな楽しいことや悲しいことが起こる。ストーリー的には悪役もいた方が面白そうだから、それも人生には必要なのかなと勝手に納得したりしていた。

で、今回の上田監督のお言葉は、それがワンカットであるということ。確かに誕生からスタートした人生は、死ぬまで途中で止めることはできない。やり直したり、一部をカットすることもできない。人によってそれは長編だったり、短編だったりするが、一人一人が独自のワンカットの人生を生きていく。

おまけに、人生にはリハーサルがない。台本もない。全部アドリブ。先のストーリーもわからない。だから面白いのかもしれない。

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