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妖精の羽

妖精は背中の羽によってランクや役割が決まる。一番の羽は蝶の羽だ。妖精王オーベロンは美しい揚羽蝶の羽、女王ティターニアは瑠璃色に輝くモルフォ蝶の羽。妖精の貴族たちは他にも美しい模様の蝶の羽、王族貴族の従者たちはシンプルなモンシロチョウの羽を付けた妖精たち。蝶の羽を持つ妖精は妖精たちの中でも花形なのだ。

トンボの羽の妖精は機動力を活かした伝令役を務める者が多い。オニヤンマの羽の妖精は切り込み役の尖兵として皆から恐れられ尊敬されている。ハチの羽の妖精たちもその多くは任務に忠実な兵士たちだ。丈夫な前羽の付いたカブトムシの羽の妖精は屈強な憲兵。羽アリ、カナブン、セミ……他の虫の羽を持つ妖精たちは一般市民と言ったところだろうか。

あらゆる羽を持つ妖精たちの中でも、僕は最底辺だ。みんなから馬鹿にされ、なんだその羽はと笑われてきた。それは当然だ。僕の背中についているのはギョウザの羽。そう、ギョウザがいい感じに焼けた時に周りに出来るあのパリパリしたやつだ。そりゃこれも羽とは呼ばれてるけど、だからってこんなのを背中につけた妖精なんてありかよと自分でも思う。当然飛べないし、芳ばしいいい匂いがするし、どこかにぶつけるとすぐボロボロになってしまう。どうして僕だけこんな訳分からない羽を持って生まれて来たんだろう。ずっとそう思って、日陰を歩いて生きてきた。でもこんな変てこな羽を持っている妖精は僕だけじゃなかった。

バドミントンの羽を持つ妖精ヨネックス、扇風機の羽を持つ妖精ミツビシ、生理用品の羽を持つ妖精ソフィー。妖精界のつまはじき者たち。僕たち4人は妖精の世界を捨てて、どんな羽でもバカにされない新天地を目指して旅に出た。僕が新たなる地で歪な羽を持つ妖精たちの王となるのはまだ先の話。僕は未来の妖精王、パリパリのギョウザの羽を持つ者、名前はオウショウだ。

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うえぽん
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