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初日の映画館

公開初日の映画館が好きだ。ずっと楽しみにしていた人がぎゅっと集まっている感じ。そこまで楽しみにしていたわけではないニワカさんが、自分は少し場違いなんじゃないかと思ってしまうような濃い空気感が好きだ。

普通の回に比べてひとりで映画に来ている人が多いような気もする。恋人や友人と会う口実のひとつとして映画を選んだというよりも、ただその作品が観たくて映画館に来ている人がたくさん集まっている。次の休みどうする?映画でも行こっか。今何やってるんだろ?あ、これちょっと気になってたやつだ。いいね……意外と(でもないか?)みんなこんな感じで映画館に来ている。それはそれでいいことだと思うが、初日の映画館はちょっと違うのだ。それでもカップルや友人同士で来ている人もいる。2人とも公開を楽しみにしていたのだろうか?それとも片方だけが楽しみにしていて、相方はそれに付き合わされたのだろう?よく観るとそんな人間模様も透けて見えたりしてまた面白い。

話題作でなくとも、さすがに公開初日の客席はほぼ埋まりがちだ。所在なくスマホをいじったりしながら、流れる予告を観る。話題作の初日だと、流れる予告も初公開のものがあったりもする。【超特報】なんてテロップとともに情報解禁があって客席がどよめいたりするのもいいものだ。僕は『変態仮面』実写化の特報でどよめいた会場にいた経験がある。予告が続き、注意事項が流れ、場内が暗くなり、今やすっかりおなじみになったNo more映画泥棒のCMが流れる頃には、いよいよ始まる映画に対して会場の期待感が高まるのを感じることが出来るだろう。非常灯も消え、いよいよ本編が始まる前に姿勢を正す感じ。何度味わってもいいものだ。全然知らない他人同士が同じ会場に集まって、一緒に息を呑み、笑い、興奮し、感動して涙を流す。あの一体感が好きで僕は映画館に行くのかもしれない。

映画が終わって明るくなって、みんなそれぞれ余韻に浸りながら席を立つ。感動に打ち震えてなかなか立てない人もいる、期待していた分失望した人だっているだろう。それぞれがそれぞれの感想を抱きつつ、ゾロゾロと帰っていく。ひとつの体験を共有した仲間だったものから、少しずつバラバラに他人になってゆく感じ。そんな大好きな公開初日の映画を、昨日久しぶりに味わってきました。『シン・仮面ライダー』、熱い映画でした。

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うえぽん
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