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執筆レビューまとめ

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執筆したレビュー記事のまとめ
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#教育

ルールは創造性の敵じゃない(『法のデザイン 創造性とイノベーションは法によって加速する』レビュー)

 「ルールを守る」の反対は? と聞かれて、何と答えるだろう。  「ルールを破る」と答える人は、「ルールを守る」ことを大切にしている人かもしれない。そして、「ルール」が不自由だとしても、それが「ルール」である以上、変えてはならないと考えている人かもしれない。  あるいは、「ルールを破る」人に苛立っている人かもしれない。「ルールを守る」ことは正しいはずなのに、「ルールを破る」人に迷惑をかけられている。あるいは、「ルールを破る」人だけが得をしている、と憤っている人かもしれない。

プログラミング言語は魔法の言葉(『白と黒のとびら』レビュー)

 異世界ファンタジーが好きだ。  「ドラクエ」や「FF」の直撃を受けた小学校時代にきっかけがあることは確かだが、それ以上に、中高生の頃に読み漁った小説の影響が大きい。『指輪物語』に始まり、『エルリック・サーガ』に代表される「エターナル・チャンピオンシリーズ」、TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の世界設定を下敷きに生まれた『ドラゴンランス』シリーズに、 2018年に30周年を迎えた『ロードス島戦記』シリーズ……。  物語やキャラクターが魅力的なのはもちろんだが、現実世界とは

哲学をプレイしよう(山口 周『‌武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』レビュー)

 哲学は楽しい。  言葉一つで、世界の見え方が一気に変わったり、苦しい状況が好転したり、行き詰まっていたアイディアに新しい光が当たったりする。  だから、みんな哲学書を読もう!  ……というのは、実はちょっと言いづらい。なぜなら、哲学書は、誤解を恐れずに言うなら、〈仕様書〉や〈設計図〉、時には〈取扱説明書〉や〈報告書〉のようなものに過ぎないからだ。〈設計図〉は時に美しいし、〈取扱説明書〉を読み込むことにも楽しさがある。だからと言って、それを読破することが、ある哲学を理解する