そこは涙流すところだろ①

急に意識が途切れた。すぐに救急車で運ばれ、生きるか死ぬかの大きな手術-3分の1の確率で死ぬという医師の言葉に妻は泣いた。手術後1週間が正念場。死の怪物がベッドの下からもたげてにやにやこちらを見ている。こいつをどんな手を使ってでも駆逐する。あらゆる武器と防具で身を固め、精一杯の力でそいつを殺しにかかる。なかなか決着がつかない。眠れやしない。目を閉じれば殺られかねない。

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