リスニング対策と速読対策
1.はじめに
最近、大体週あたり2・3人の生徒さんから「リスニングが苦手で…」や「読むのが遅くて…」という相談を受ける。
まず断っておきたい(誤解されたくない)のは、僕は「速読対策」的な言葉が嫌いだ、ということだ。異国の地に住む者の使う言語(本来的には我々から遠いところにあるもの)に対して「速さ」を求めるのは何度考えてもナンセンスであるからだ。僕が「基礎練習はしたくない!けど大谷翔平のように160キロのボールを投げたい!」と真顔で言い出したらどう思う?…そう、いま貴方が思ったことを僕は思っているのだ。
…とはいえ現実問題、限られた時間しか残されていない生徒さんが御自身の夢(第一志望合格)を叶えるためには、少なくとも僕は立場上色々と術を考えなければならないと、かつて思った。
そして考えを巡らせた結果思いついたのが「速読対策=リスニング対策?」という等式のようなものだった。
まずは僕が思う「リスニング対策」について、以下に語る。(以下の数字の順に対策して頂きたい)
2.リスニング対策①(まずは解く)
まずはリスニング問題を解いてみて欲しい。教材は以下のもので良いと思う。外部試験を受けられる方も多いだろうし。(制度自体には大反対だが)
また解く時間が勿体なかったり、英検を受ける予定が無かったり、単語の習得とリスニング力の改善を同時進行的に行ないたい方は『速読英単語上級編』(Z会,風早寛著)を行うのも良いと思う。CDが別売りで売っているので、CDまで手に入れて下さい。(本書にはリスニング用の問題はありません。但し以下に記載するリスニング対策法を本書を通して行って頂ければ問題はないと思います。)
3.リスニング対策②(スクリプトを読解する)
問題を解いたら(『速読英単語上級編』を使う場合はここからスタートとなるが)次にスクリプトを読解して下さい。
「スクリプトを読解」とは、必要に応じて意味調べや品詞分解を行いながらスクリプトを読み進める、ということです。スクリプトに直接色々と書き込むことを推奨します。
「読めないものを聴ける訳がない」と思いませんか?まずは何が書いてあるのかを理解したい。
4.リスニング対策③(オーバーラッピング)
書いてある内容を理解できるようになったら、次に行うべきは「オーバーラッピング」。「オーバーラッピング」とは英語の音声と同時に声に出して英文を読む行為のことです。
尚、これを行う際には英文を見ながら行うべきだと僕は考えている。そうすることで御自身の思う音とネイティブスピーカーによる音の差に気付くことができるからだ。
音声と同じ速さで読めるようになったら合格。ただ受験生の多くが同じ速さで読めるようになるまでかなりの時間を要するのではないかと思う。シンプルに発音の難しい語や聞き慣れない語が英文中に存在する可能性が高いことと、英語以上に日本語には母音が含まれていることなどがその理由になる。リンキング(例えばtake it easy が takideasy と書いてあるかのように発音されるなど)も難しいですし。
ここをどれだけ頑張れるかです。粘ってみて下さいね。
5.リスニング対策④(聞き流す)
上記③まで行った素材は、あとはひたすら聞き流して下さい。電車内やふとしたときにいつでも。
いきなりTEDやBBCに挑む方が稀にいらっしゃるが、リスニング力の維持やリスニング力のテスト、教養を育むにはそれで良いと思うが、いきなり難しいものにあたっても、リスニング力を育むことに繋がるかというと微妙な気がする。
勉強なんて短期間で急激にできるようになるものではないが、しかしことリスニング力は特になかなかすぐに向上するものでもない。本当に日々どれだけコツコツ向き合うかである。
「気付かないうちに出来るようになっていた!」となるのがリスニング力なのかなとも思う。精神的にかなりキツイが、しかし本当にリスニング力を上げたいなら本記事に記載した上記の方法が何より効果的であると思う。是非頑張ってみて欲しい。
6.速読対策
そしてここで「速読対策」である。
リスニング対策以上に「じわじわと」上げていくしかないのが速読力だと思うが、しかしその改善法のうちの1つとして挙げられるのが上記リスニング対策法なのかなと思う。普段からネイティブスピーカーと同じ速さで左から右に読んでいれば、少なくとも「語感」や「雰囲気」を養うことはできると思う。
よく塾や予備校では「なんとなく解く」が批判されるようなイメージがあるが、しかしこと英語に関しては言語なのだから「なんとなく解ける」のであれば(←ここが大事)その「ふわっとした感覚」は重宝されて然るべきだと僕は思う(し同じように考えている先生は結構いらっしゃると思う)。
速読というものはあらゆる要素が連なってできるもの(語彙力・構造把握力・今までに触れてきた英文数による感覚・背景知識・情報の取捨選択などなど)なので一概に言うのは難しいが、しかし上記リスニング対策法が速読に繋がるのは確かだろう。
そういう意味では、あの共通テストは良く出来ているといえば良く出来ているのかもしれない。(「何様だ」というツッコミは飲み込みましょう笑)
7.おわりに
まぁこんな感じで僕が思う「リスニング対策法」と「速読対策法」について語った訳だが、僕の体感だとこの手のものは、知ってから実行する者が1割に満たない。
そこの割合を底上げできるかどうかが僕の勝負所なのだが、しかしもし上記方法が腑に落ちた方がいらっしゃったらまずはやってみて欲しい。それだけで上位10%の仲間入りな気さえするな。
今日も明日もお互い、あとちょっとだけ頑張りましょう。日々「あとちょっと」。それの積み重ねでしかないよね。
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