とても変なオーロラの話
共同研究の論文がリリースされましたので、記念に私からも何かしら、書きましょうね、参考まで
さっそくnatureとナショジオに紹介されてますね
普通オーロラは、太陽風が吹くことで、光ります。
そういうプラズマの流れによる発電が、オーロラの電源。それが普段のオーロラです
しかし、そういう普通のオーロラとは全く違う仕組みで光る、超巨大で明るい緑のオーロラを発見しました、私たちもびっくりしました、という話です。
背景から少しずつ話しましょうね、まず「太陽風が消えていた」、というところ
これまで、太陽風が消えたことが何度かあります。一番有名なのは1999年の5月。もう25年前ですか。なので、それ自体が珍しいです。ちなみに、ここで太陽風が消えた、という意味は、一時的に密度が、ほぼゼロ(通常より100倍くらい希薄)になっていた、ということです。
太陽風が消えると、どうなると思います?
少し詳しい人は、磁気圏の形が大きく膨らんだりするようなイメージを持つのではないかと。そういうことはあります。プロも、そう考えてます。正しい
でも、ほかには?
ここからは普通は聞いたことない話ではないかと。
太陽からは、なかなか危険な電子ビームが、磁力線に沿って、太陽から外側に放たれているのですが、これは普通は地球に届きません。太陽風の荷電粒子とクーロン散乱してしまって、この電子ビームがなくなってしまう、つまり電子ビームにとっては太陽風がじゃま、障害物になっているのが普通の状況です。
しかし、その電子ビームから地球を守っていた太陽風がなくなると、、
電子ビームが地球に直撃してくるようになってしまいます。太陽と磁力線の繋がっている場所だけ、ボンバーされます。
今回は、北半球の高緯度地域全域が緑色のオーロラになりました。太陽と磁力線の繋がっていなかった南半球は全く何もなしですが
円周魚眼レンズで地上から夜空を撮影すると、北を見ても南を見ても東を見ても西を見ても真上を見ても、見渡す限りの全てが、のっぺりとオーロラ。
・・・のっぺりしているのは何?
考えてみると、たしかにのっぺりしそうなのです。
ひとまず、太陽からでる無数の磁力線が、仮に一本一本の細いスパゲッティだと思って頂きたい。どれほどの細麺スパゲッティか。
太陽表面の超粒状斑が、磁力線スパゲッティ一本の根元、それくらいの微小サイズになります。このスパゲッティの一本の先が、はるばる地球にまで伸ばして、その断面を見ると、地球の高緯度地域全域と同じくらいになります。つまり、さすがにスパゲッティ一本の中では、光ファイバーのように?電子ビームは同じ、ということ。
・・・スパゲッティより、はじめから光ファイバーと言えば良かったですかね。
太陽の超粒状斑の模様が、地球の大気にそのまま、光ファイバー的に、写っているんですよね。これ、すごくないですか
何がすごいかって?たとえば、ですね
「オーロラは、太陽から飛び出た電子が、そのまま地球の大気にぶつかって光ります」というのは、全くダメで完全に間違ったオーロラの説明として有名でしたが、今回の発見により、実はそういう種類のオーロラもあったね、、ということが証明されてしまいました。まあレアですが。
大自然は、宇宙は、わたしたちをどこまでも驚かせてくれますね