火星人へ。被ばくの話。


火星へ有人探査する際に、できるだけ人体の被ばく線量を下げるには、あるいは持ち込む電子機器の劣化や故障の危険を回避するにはどうしたらよいか?について、書いていきます。

まず、太陽活動を知り、時期を選ぶことで、最悪の事態を避けやすくなります。結論から言うと、太陽活動が活発なときは、避けたほうが無難です。なぜなら、月面で船外活動中に浴びてしまった場合に換算して、致死量に達するほど大きな被ばくをもたらす太陽の爆発現象が起こる確率が高いから。

火星へのクルージング中は宇宙船の中に人がいるので、宇宙船の壁による遮蔽で軽減されますが、宇宙船の壁は太陽からの放射線を完全に止めきれるほど分厚く作れません。それから、火星の表面にまで着いてしまえば、火星の大気が宇宙船の壁よりましな放射線シェルターの役割を果たします。

それでも、火星の気圧は、地球の1%しかありません。エベレストの頂上にいるより空気が薄い。この薄い大気では、宇宙からの放射線を十分に吸収できないので、火星の表面にいるだけでも、それなりに被ばくします。それから、火星には固有磁場がないので、宇宙空間の放射線が、そのまま大気に突入して来ます。これらが、地球とは違うところ、火星の弱いところ、になります。

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