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トンガ噴火に伴う日本での気象津波

驚きの津波注意報が発令されてから二週間が経ちました。気になったことを研究しまして、本日、論文をサブミットしましたので、その経緯についてメモを書いておきます。

まずは、トンガでの海底火山の噴火について。ひまわり衛星でターミネーター付近にキノコ雲が出た!というTwitterを、たまたま目撃しました。この時点では、ムム?と思ったくらいでした。土曜日の夕方で、明日は日曜だし天気予報は晴れだから早起きして釣りに行こう!と思っていました。

気象庁としては、太平洋の各地の津波データを確認して、日本への津波の影響はない、と言っていたのを何かで見かけました。ところが深夜になると、気象庁は慌てて注意報や警報を出していました。津波か分からないが、津波警報のシステムを使って、注意を呼び掛けた、との説明。これにより、警報を受けた岩手の方々の4%が避難したそうです。

朝になっても混乱つづきというか、事態は何も変わっていないようで、よくわからないが注意!というニュースで溢れていました。私も命がけで釣りに行くわけにはいかないので、釣りは中止に。

(ちなみに午後2時ごろには、注意報が全国で解除されました。解除の理由は、たしか落ち着いてきた、みたいなフワッとした印象でしたが、ちょっと正確なところを忘れました。)

今は、ガチの研究者が、Twitterで分析や考察を情報発信しています。観測データもウェブで見たりできます。気づいたら私もデタラメにデータを集めていて研究を始めていました。

仮説は、気象津波だろう、ということ。ならば、強く共鳴した地点の潮高の固有周波数スペクトルは、そうでない地点のそれよりも、気圧パルスのスペクトルに似ているはず、という確認を、手元に集めていたデータで確かめてみると、だいたい予想と合う結果に。

たぶん論文になるぞ、というつもりで、それから気象津波の論文を幾つか読んでいきました。そして案の定、私のやってみたことの上位互換のようなスペクトル解析の研究が、約25年前に、その道のプロによってやられていたことに気がつきました。まあ、仕方ない。ありがたく知恵を拝借して、その上位互換のような手法で、今回の日本ではどうか、という検証をした形に論文をまとめればよいのでは。

それから、気圧パルスの日本通過について詳しい速報をしていたウェザーニュースが、その観測データを研究用に提供していますよ、という情報を、どなたかにTwitterで教えて頂きまして、さっそく申し込んで研究に利用させて頂きました。約1500地点あるので、気圧パルスのスペクトルは、驚異のアンサンブル平均に。

さらには、同じように在宅で苦労している同僚たちから、トンガ噴火による大気と海の波のシミュレーション初期結果を見よ!というメールが。お互い、ちょうどよかった!と急遽zoomでディスカッションをしました。そして共同研究を進めることに。ここまで、噴火から1週間。

その後、この1週間は、どうだったかと言うと、ドラフトをたたき台に、同僚から疑問をもらったり不足を指摘されたり独立に確かめてみたり助けてもらったり、ということをボチボチ進めていました。そうして一旦、煮詰まったところで、本日投稿となりました。

冷静になるまで、論文をいったん寝かせて、というプロセスを省略しました。まだ煮込みが足りない。しかしタイムリーなことなので、まずは直後の二週間で今できたところまでを報告して、オープンに叩いてもらえれば、と思いまして。なので、すぐにプレプリントも公開します。

これで終わりという研究ではなく、カッティングエッジなシミュレーション研究の成果について、のちほど同僚たちが、それなりのスケジュールで発表することになりそうです。まずは私から、ということで。

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