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IR担当の新規事業関与+事業への影響について

はじめに

こんにちは。
株式会社ランディックス(2981)の松村です。
昨日20日、日銀の長期金利の許容変動幅を変更(02.25%→0.5%)したことで、アセット積んで収益を上げる不動産銘柄が売られ、総じて8%~10%程度株価下落していました。(当社も…。)
こういった市況の波は如何ともしがたいですが、より一層IR頑張らないと。
今日は、IR系Advent Calendarの21日目、書かせて頂きます!

ほんとに最近なのですが、こういったIR担当者の輪に参加させて頂くようになりました。
自社の株価を何とかしたいなと思いながらIRしてきましたが、みんな(各社)悩み考え頑張ってるんだなとしみじみ感じ、この輪の中で頑張って楽しく盛り上がっていきたいと思うようになりました。
そんなマインドの変化も含め、会社と家をひたすら往復しているより、外に出て人と関わりコミュニケーションの中で得られるものが本当に大きいなと改めて実感しています。

改めて今回のIR企画、ツクルバのシゲマツさん!
本当にありがとうございます!

①自己紹介

「そして、お前は誰なんだ」ということだと思いますので、自己紹介です。

新卒で住友電気工業という会社に入社し、トヨタ自動車向けのBtoB営業(20代前半は大阪→岩手→名古屋)やりまして、その後20代は営業畑で、当社にも営業として入社しています。(3社目となります)
入社後しばらくして、2016年からは当社がIPOモードに突入し、そのタイミングで経営企画で上場準備を任せてもらうことができ、IPO準備室長という感じになったので、コーポレート系の仕事バーッとこなしているうち、2019年12月に無事マザーズに上場!という運びになりました。(営業部が優秀で業績が良かったというのが大きい。)

いまのメインは経営企画部なのですが、規程整備とか総会・取締役会運営といったベーシックなところから始まり、監査対応・内部統制、事業計画の策定、資本政策、人事・制度設計など、幅広く(雑多に?)うごかせてもらえているのは、まだ組織図がコンパクトなのと、「やる気があればどんどん任せよう」というカルチャーがあるからだと思います。

今でこそ会計とか好きですが、最初は日商簿記3級・2級からはじまり、その時々で「ちゃんと勉強しとかないとマズいよなこれは」というのをかじりながらなんとかやってきました。
IPOをきっかけに経営というものにタッチさせてもらえるようになりましたので(ここは社長にめちゃめちゃ感謝。ほんとに人生変わりました。)、グツグツとした焦りもあり、MBA取得のために大学院行ってみたりしました。
上場準備4年+上場後3年の7年振り返って、結構成長できた部分もあったのかなと思います。

②IRが事業に与える影響というテーマ

昨日20日までのIR系Advent Calendar記事を拝読しまして、そして明日以降の面々を見ますと、私が「株価算定とは」とか「適正株価とは」とか「IPOとは」など、書いても、控えめに言って価値ゼロです。
せっかくなら何かを感じ、考えてもらうきっかけを作れたらいいなと思っているところです。

少々気後れするものの、私の経験でレアな部分というのは出身が営業で、かつ「営業部門以外とりあえず何でも」的に、いろんな巡りあわせで守備範囲を広く任せてもらえてきたこと。社内の動きの自由度が高いということだと思いまして、「IRが事業に与える影響」というのを、事業側(内側からといったらいいのでしょうか)から感じてきたことを書いてみようと思います

※ロボペイの進藤さんがこんな素晴らしい記事書かれていましたが、それよりもうすこし範囲を狭く、営業とか組織など現場チックにしたイメージで少し角度を変えたい感じです。

1.IRする人間の持つべきマインド

どの会社でも、部門によって、レイヤーによって、テンションや視点、重視すること、考えることなど、ものすごく違うと思います。
1つの会社(当社)でいろんな部門を経験してきて、「IRする人間はこんな姿勢だと、きっといいのでは?」と思うところがあるの2つ書いてみます。

①営業部門の実態をちゃんと目で見る

IRとは考え方や動きが遠い部門の一つは営業部だと思います。
営業社員が自社の決算資料ちゃんと読んでいるとか、IRでどんなふうに紹介されていてIR上のKPIと、現場のそれとでどんな違いがあるか?など理解が浸透している会社は稀なのではないでしょうか。
営業部門がIR目線を知らないことは仕方ないと思う部分もあるのですが、IR部門が営業の現場を知らないことは問題だと思います。
IRの決算資料を見て、実際にその会社の営業実態や現場イメージまでつかめるというのはほぼ無いと思いますが、それと同様に、IR担当が社長とやりとりする、もしくは営業部門長と会議・ヒアリングを一生懸命したとしても、かなりブラインドがかかるのではないかというのが感想です。
これは、「嘘がある」「ごまかしがある」とかではなく、部門としての立場とか、その時の営業状況の○×、単純にその人の精神状況・性格で全く違うテンションや話になるからというのが理由です。

少なくとも、IRやる人間は、実際に営業の現場を自分の目で見て、「自社の商品を自分で売ることはできるか?」という視点は持っておいた方がいいのではないかと思います。
私は部下には、機会があれば自社の商品(当社の場合は不動産)の現場を見に行ってもらったり、契約に同席してもらったり、営業の研修に一緒に出てもらったりしていまして、そういった経験が仕事で生きていると感じる場面は多いです。
分かっているつもりでも実は分かってなくて、言葉やヒアリングだと「??」なことでも、見れば一発でわかることって多いと思います。
百聞は一見に如かず的な。

コーポレート部門だと、体を動かさずに頭だけ動かして仕事を進めることが多くなりがちで、それが後々コミュニケーションのズレに繋がっている場面をよく見かけます。
「いや、見て来いよそれ(笑)」みたいな。

IRは現場とは全く別の場所で仕事する人種だと思いますので、心がけとして大事だと思っています。

②自社株をなるべく買う

「言わなくてもそりゃね」的な話というのは理解していますが、自分の経験振り返ってみても大きいかなと思います。
私は、自分の金融資産のうち、自社株が占める割合が圧倒的に、多いです。
控えめに言って、ぶっちぎりです。
「株価の変動を身銭で危機感に変えろとか、本当にコミットしとるんか?なおも根性論的な、そしてカネカネした話か!?」
と言われるかもしれませんが、そういう話です。

生株持ってるかどうかは、やっぱり違うと思います。
同様の話として
・失敗しても痛みの無い営業なんて結果は出ないですし
・評価の良し悪しで報酬・給与の変わらない人事評価なんて意味ないですし
・責任の重さが危機意識の違いですし
少し乱暴ですが、IRとてそういう側面はあるのではないかと思います。

少し目線を外して、IRで下手なことしたり
株価がズドーンと下がったりしたときに、個人投資家の方々からお𠮟りを受けたり、応援の気持ちでアドバイスのメールを頂くことが多々ありますが、そういうときにもマインドとして違いはあると思います。

IPO直後とか、自社株もあまり持っていなかった段階では、ここでは書けない失礼なことを正直思っていました。
(一定の共感を得る類の話だとは思っていますが。)

今は事業上の意義とか、期待に応えることの意味、痛みを頭ではなく、感情の面でも受け止めているので、かなり変わりました。

③自分を広角視野でとらえる

私は営業経験が非常にその後の仕事に生きているなと思います。
気に入られようとすること、好かれようとすること、分かりやすく説明しようとすること、押し通そうとすること、ポイントを見定めようとすること。

もともと、話すのはうまくないし、口も重たいタイプでしたが、営業を経験したことで、純粋に話し慣れたというのもあります。
自分の成長のため、会社の全体適格の中で「今の地位に固執せず企業価値に貢献する」という姿勢は大事だと思います。

2.IRの目的

IRの目的は、会社の成長段階に併せて変化していくものだと思いますが、ここでは、当社のIR担当として私が思うIRの目的、という観点で参考程度に書かせて頂きます。
結論からしますと、恐縮ながら、うるるの近藤CFOが書かれていた内容と同じになります。

うるるの近藤さんのいうIRの位置づけ(抜粋):
「株式価値の最大化を目指すことで、将来の資金調達の選択肢を増やすファイナンスアクションの一部」

特に当社は、不動産売買および、それに付随する手数料・請負収入が収益源の事業を行っています。そのため、1商品ごとの金額が大きく、リスクがある商品仕入のために融資を継続的に受けられる強いB/S維持が不可欠です。
現段階では自己資本比率も高水準で、実質的なネットキャッシュも十分確保できていますが、やはりyoyで130%、140%という成長を続けていく中では、当然棚卸資産および借入が重たくなり、「B/S大丈夫?」という話が出てくることは明らかです。
そう遠くない将来、成長のボトルネックが営業力ではなく、資金力にもウェイトがかかってくるので、そうなると当然、株式による資金調達は当然、今から見据えなければいけません。

また、不動産事業においては人材=会社の戦闘力的な側面が強いので、採用における会社の信用力向上というのは重要です。そのため、マザーズ上場当時から「東証一部を目指しています。」と明言してきました。
いま、プライムへいくことを考えると、時価総額250億円の壁が立ちはだかっており、ここを突破するために、株価を上げる必要があります。

①継続的に銀行から商品仕入れのための資金を調達する財務基盤を目的に
 エクイティファイナンスを効率的に行うため
②採用から数珠つなぐ事業の発展のため
③社員のエンゲージ向上のため
株価を上げることが、私が今IRに注力しなければいけないと思う理由です。

ということで、私自身が思う、「今」当社にとってのIRの目的は、出来高を作ることでもなく、適正株価への到達でもなく、ただ偏に「株価を上げるためにやっています」で差し支えないと思います。
結局全部一つなぎだと思いますが、直線的に言えば、つまりそういうことです。

3.IRが投資家以外に与える影響

IR以外の部分も管掌している中で対投資家ではなく、事業側への影響について思ったことを書きたいと思います。結構事業そのものにも影響するなと思っています。

①銀行中心に資金提供者からの目線

例えば、銀行の融資担当者は当然、取引先の決算説明資料は読んでくれています。
(債権者も投資家ですが、エクイティ側ではないという点で書いてます。)それに、巡航運転時においては、銀行と会社の利害は基本的に一致しているので、当社のメリットになるようなことを、決算説明資料のトピックなどから一生懸命提案してきてくれたりもします。
例えば、組織体制について整理して指摘してくれたり、なんとなく「載せてみるか」と掲載したニュースを捉えてM&A案件とか、顧客紹介をしてくれたりと、そういうことが何度もありました。
当社は、決算ごとに、つながりの深い金融機関さんには社長も同行のもと、業績の説明に伺っていますが、株主以外も見る資料でもあることを意識すると、入れるAppendixの内容がやや変わったりするのではないでしょうか?

②採用資料のベースという意識

人事とIRの距離は会社によると思いますが、当社はかなり近いです。(もともと経営企画から人事が分離していったので。)
そして、会社で最もフォーマルな外行きの資料はIR資料なので、自然と人材採用資料とか、説明会のスクリプトもIRを参考にしてきます。
「IR資料が採用の会社説明会の前提情報になっている」という会社は実は結構あるのではないでしょうか?
ここで大事だと思うのは、IRする部門にはかなりの量のデータが網羅的に集まってくる(あつめる権限がある)ので、各部門が外に出す資料の作成協力というのは、他部門との連携強化としてかなり重要だと思っています。
例えば、離職率の改善にあたって「この年にはこういう採用説明をしていた」からミスマッチが増えたのでは?とか分析していたりしますが、IRのメインミッションは対投資家とは言え、会社の外に出ていく資料を一通り認識しておく、もっというと各部門から見てIR資料はどう見える?というのを考えることは結構有益だと思います。

そういう意味では、IR部門というのは会社の優秀なミッドフィルダーになれる部門の一つだと思います。

これは大分蛇足ですが、持株会の理事長をしているのですが、2022年は加入率が一気に上がりました。新卒が増えて同期のつながりが効いている、という側面もあると思いますが、入社前のエンゲージアップに成功すると持株会加入率が上がるような気がします。
考え方は色々だと思いますが、やっぱり持株会は加入率が高い方が、事業に対する意識や一体感、業績への意識は違うと思いますので、IR側としては、持株会も大いに推奨という姿勢が良いのではないかと思っています。

③社員の士気

当社では社内IRを半期ごとに行っています。
最初は結構気軽でしたが「これは結構影響でかい」と思っています。
人事の社内ヒアリング結果とかを聞くと、社内に社長が発信する言葉はそのまま雰囲気に影響することが良く分かりますし、特に最近の20代の世代は、社会的な意義とか、より大きなビジョンに心を動かされ、そのままモチベーションに繋がっていたりするので、現場の士気の状況と人事-IR-社長が認識をひとつにして社内発信を企画することは重要だと思います。

4.PERとEPS両方にタッチしたい

長くつらつらと書いてきましたが、〆に入ります。

株価=EPS×PER

であるわけですが、私は営業部門出身だからか、「PER側のみが自分の仕事」という意識は持っていなかったし、リソースも限られているので、どの部門が、ということではなく会社としてアタックしていく体制をとっていくべきだと思います。(もちろんプロジェクトごと、費用毎には責任者は1人に特定され、責任の所在は特定されるべきですが。)
例えば、IR部門としては、PERを業界目線のうちで高水準にキープすべくIR頑張るとか、安定させるために機関投資家にアプローチするとか、PER側のことをまず本業としてやるべきだとは思います。
しかし、大きなくくりとしてコーポレート部門の連携としてやれることとして、銀行取引で借入金利を工面して営業外費用を落としにかかるとか(不動産は結構これがデカい)、管理会計を整備して部門長のコスト意識を上げて権限移譲を効果的にする+効果計測をするとか、「それは経理・財務の仕事」とか言わなくても、財務諸表分析とか他社比とかIR担当なら見てたりするわけで、「あ、ここいけるんじゃないかな」とか思うところがあるわけです。
IRがんばる会社の多くがまだ小型株だったり、組織がコンパクトだったりすると思うので、個人のやる気が会社の動きに影響するのは、本当に貴重なやりがいだなと思います。
EPSだ!PERだ!という言葉を使わなくとも、社内の会話を聞いていると、考え方として、ディフェンスとオフェンス的に分かれがちで、「まるっと広い視野で考える」意識を持たせるのはIRやってる人間のミッションではないでしょうか。

IR担当のローテーション・兼務先・協力先として新規事業はどうでしょうか

記事の題名という結論になります。
完璧CFOロールの方とか、IRのためにアサインした方とか、IR兼管理部長兼~とかだと内部統制上どうすんじゃとか、色々そぐわない場合はあるとは思いますが、利点は結構あると思います。

実は、私も新規事業(まだPJベース)を一つ持たせてもらっていますが、その事業の案としてはもともと存在していましたが、スタートの決定打は株式市場からどう見えるか?から生まれてきた考えでした。
「営業しやすい」とか「既存事業のシナジーがある」とかだと中々絞れなくとも、自社のPERが今以上に評価され、かつ立ち上がった場合にEPSがあがる(つまり既存事業の利益の加重平均的なところより高い利益水準)とか、「株価上げたい」IR軸が加わると意外と限定されるし、角度が加わることで、「それ、思いつくよね~。」みたいなものであっても急に輝いて見えたり、「その切り口ならこのアプローチだね!」ということで、事業自体は同じ商品であっても、全く違う可能性が見えたりするものだと思います。

だからこそ、全体を俯瞰している社長が事業決定はする、という話ではありますが、IR担当部門としては腕の見せ所&貢献のしどころだと思います。

IR云々抜きにして、シンプルなところ、株式市場で評価されるというのは、魅力ある事業を創造し(評価水準が決まる)、その可能性を世間から期待してもらい(PER上げる)、その実績を上げる(EPS上げる)ということかと思います。
いいアイデアがあって、やる気があって、事業コミットがあるなら、個人としても会社としてもリスクを取って、事業開発(ド新規でも、既存のピボットでもそれはOKだと思うんですが。)できるなら、これほど企業価値に資することは無いと思います。
リソース上・統制上難しくても、IR担当部門が本気でアイデア出ししたり、プロジェクト的にサポートで入るだけでも、全体にものすごいプラスがあると思います。
だから、IR担当者のキャリアとして新規事業立上げとか最高だと思います。(最初は2足のわらじ)

私は、自分の適性がどこにあるのか、未だにまだ分かっていないので、専門分野を決めきれていないというのが泣き所というのは正直なところです。
しかし、少なくともIRやるほど、株価について考えるほど、事業サイドにもコミットしていきたいという感情が出ましたし、企業価値の算定とか市場の原理を知るほどに、PERもEPSも完全に切り分けて考えられる性質のものではないというのは強く感じています。


…とここまで、エラそうに書いてしまいました。
「いやいや」と言う方も当然いらっしゃると思いますが、「ありかもね」くらいに思ってくださる方もいらっしゃるのではないかと思っています。

5.業界のPERに貢献したい

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
冒頭でも書きましたが、最近、すごく「不動産業界のPERを上げたい」という気持ちになってきています。
景気変動リスクとか、在庫リスク、日本の人口だとか、色々論点はあるものの、「もうちょっと評価されてもいいんじゃないの」と思うことが多々あります(当社だけでなく不動産業界が)。
ここ最近で、アドベントカレンダーの参加者の方の影響も多分にありつつ、当社のIR資料は少し進化を遂げております(笑)。
これからは、当社も他社から参考にされるような、なるほど不動産ビジネスとはかくあるものかと、不動産業界の盛り上がりにプラス1となるようなIRをしていけたらと思います。


そして最後に、、
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松村隆平(https://twitter.com/matsumuraryuhei

皆さま、良いクリスマス&年末を!!


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