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【ブルーマウンテンMBA戦記-10】▶不動産証券化スキームについて

 当然ですが、「MBAを取った」=「力がつく」「年収が上がる」という段階、職責でもないので、しっかりと行動の意味、得るものについて考えないとダメだという焦燥感がありますが、このところ「40歳時点での自分の仕事人としてのビジョンてどんな姿だろうか?」ということについて考えています。
なんでもかんでも手当たり次第に、という段階でもなく、ある程度経験は選び取っていかなければいけないし、方向性に沿った濃い経験求めていくべきだなと改めて思います。

さて、資金調達というのはコーポレート部門を預かる場合にはマストで習熟すべき分野であると思いますが、これまで不動産の保有者の立場での資金調達について、「不動産証券化」をじっくり考えたことが無かったので、少し知識の補強も含めて調べてみました。

1.不動産証券化スキーム
概略としては、不動産の証券化のためのSPV(実態はSPC)が投資家からデット、エクイティ、メザニン等で資金調達を行い、SPCが事業者(=オリジネーターと呼ぶ)から不動産の譲渡(買受け)を受ける。
その後、SPCは運用益や売却益を出資者に分配。(デット投資家→メザニン→エクイティ投資家の順)
全体の調整はアレンジャー(証券会社やファンド、信託銀行や不動産事業者が担当)が行い、税制の問題や法的な問題について検討しながら1件1件手作り感のある商品に仕上げていく、とこんな感じだと思います。

2.不動産保有者(オリジネーター)のメリット
何といっても、元不動産保有者のメリットは、不動産をBSからオフバランスすることが出来、将来的な価格変動リスクを軽減できること、更には資金調達に柔軟性を持たせることができる、ということです。(証券化して小口にした方が売れやすい。)
長期間確実に高い利回りをキープでき、資産価値が担保されるようなものの場合はずっと保有してても良い、ということにはなりますが、そうはいってもリスクがあるのが不動産だし、確かに資金調達にあたって柔軟性が出るのは非常に有用です。

3.投資家のメリット
デットとエクイティではリスクの観点から期待収益率も異なりますが、共通しているのは、不動産という通常は大規模な資金が必要な投資対象に少額で投資できるという点であり、かつそのMAXの損失もその出資範囲に限られる、という点です。不動産投資は個人にとっても法人にとっても重要な投資機会ですが、そこに柔軟性があるというのは市場にとっても大きなメリットです。
デット投資家は金利を、エクイティ投資家は配当とキャピタルゲインを狙うことになりますが、もし自分で投資するのであれば・・・当然エクイティ一本でしょう(笑)せっかく小分けにしてくれてるんだし、更にリスク低減しなくても、という気が。

ちなみに・・・この投資家が特定され非上場でファンドのものが「不動産私募ファンド」で、対して上場していて不特定多数を対象とするものが「J-REIT」ということになります。
(メザニンは「デットの中でも返済の優先順位が低い物で、エクイティとデットの中間の位置付け。」ということは認識しており、重要性があるというのも知っていますが、イマイチ実感値が無いのが正直なところ。)

4.CFOとしての向き合い方
最初仕組みを見た時は、かなり大きな規模の商業ビルや大規模MSが対象になるのだろうな、と思いましたが、調べてみると2億とか5億程度の比較的小規模な不動産でも証券化対象になっていました。
当社だと、今現時点で証券化して流動性を高めて、BSをスマートにオフバランスして・・・というのが必要な状況では無いように思います。(…残念!!でもいつか必ず。)

こうなると、CFOのような形で経営人材として生きていくことを考えると、自社の保有不動産を開発してバリューアップ→売却とするのか、証券化するのか、といった議論についてはそのファイナンス上の検討・効果測定をしなければいけない局面は当然想定しておいた方がよさそうです。

実際にはSPCの設立から弁護士、専門のアドバイザーチームが入るのでしょうが、事業会社内に知見がある人間がいるというのは非常に重要です。
この点、話は逸れますが、IPO時の売り出し価格決定の際の類似会社の検討などでは、経験者がいるといないとでは全く違った結果になり、事業会社が新しいアクションを起こす時に、主体的に取り組む姿勢は当然ですがかなり大事。(これは自分自身の大きな反省も含みます。)

不動産金融の道にキャリアチェンジして、証券化を何本も経験する、ということは想定していませんが、むしろ証券化にあたってオリジネーター側の窓口は是非やりたい!
その他、コーポレートアクションとしてM&A、社債発行、公募増資、立会外分売など、、この道で生きていけば幾度となく当然に出会う仕事との更なる出逢いを楽しみにしています。

不動産証券化マスターという資格もあるようで、ちょっと興味ありますね。

【前回】▶-オペレーションズ・マネジメント(予習編)
https://note.com/ryuheimatsumura/n/n64a832afb75e
【次回】▶

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