鯖紀行2 身から出たサバ(関サバ)
トルコで鯖サンドを食べて鯖の虜となった私は、日本に帰るとすぐに鯖の勉強をしました。
そして知りました。かの有名な関サバの故郷九州では鯖を生で食べると。
私の人生はどんなにしょうもなくても、それを食べずに終われる人生ではないんです。
いくつか理由をこじつけて私は大分県佐賀関に急行しました。佐賀関、佐賀県だと思ってました。
佐賀関は大分市の西の果て、豊後水道に突き出す半島のような所です。関サバを食べさせる店が何軒かあります。その中から、関の瀬というお店に入りました。
大将が一生懸命こさえてくれた関サバ定食です。ついでに関アジ定食もお願いしました。
私の知っている切り身の鯖とはまるで違いました。刺身になっているのに、身がはちきれそうなのです。こんなにはつらつとした刺身があっていいものかと、私は震えました。
身は締まってかたく、顎が負けそうなほどの歯応えがあります。
肝心の味ですが、いわゆる鯖のクセは一切無く、スッキリサッパリの、上品な味わいでした。脂は確かに載っているのですが、臭みは全くありません。
鯵も同じように澄んだ味でした。
こんな刺身は食べたことがないので驚きました。こりゃあうまい。日本にこんなに美味しい鯖があったとは。
せっかく九州まで来たので、九州一の寿司どころ、佐伯にも行きました。
訪れたのは福寿司さんです。地物のにぎりをひと通り楽しんだ後、鯖を生と酢締めでそれぞれ握ってもらいました。
生鯖は、佐賀関で食べたものほどではないもののやはりクセのない味。しかし酢締めは、あの鯖の独特の風味が引き出され、濃厚な味わいに仕上がっています。
鯖の本で読みました。鯖は塩や酢で締めて初めてあの独特の風味が出て旨くなると。それを実感しました。
いずれにしても美味しい鯖でした。
九州というちょっとした異文化の中で、鯖の可能性の広さを思い知りました。
しかし鯖を旨く食べているのは九州人だけではありません。鯖紀行は続きます。
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