牡蠣バター定食と冬の訪れ(カツレツたけだ@四ツ谷)
冬が嫌いだ。
冬は寒い。厚着をしたらすぐに汗をかき、汗をかいたら寒くなる。濡れた手足が凍える。
外に出たくなくなる。テレビとゲームで頭がパンクする。
日が短くなって憂鬱になる。春を待つことしかできない冬が、今年も来る。
でも少しいいこともある。
牡蠣が、うまい。
銀杏が真っ黄色に染まる四ツ谷にあるカツレツたけだ。並ぶ人みんなが口を揃えて注文するのはカツレツではなく牡蠣バター定食だ。
火を通してなお大ぶりな牡蠣が、たっぷりのバターを纏ってツヤツヤと輝いている。
ありがたい。いくら質の良い牡蠣を手に入れても、自分でこんなに上手に調理してやることはできない。これは牡蠣への弔いだ。
もう一度、ありがたい、と手を合わせ、牡蠣を持ち上げる。かぐわしいバターの香りは幸せの香り。ふるふると踊る身を半分だけ齧る。
うまい。
しょっぱめの味付けやバターの風味に負けない、牡蠣の力強い味わいがある。牡蠣の育った海を思わせる潮の香り、海を凝縮したうまみ。
たまらずご飯をかき込む。ご飯の甘味と牡蠣の旨味が互いを高め合って止まらない。べらぼうにご飯がすすむ。
大ぶりな牡蠣があっという間に無くなった。冬よありがとう。美味しかったです。
冬にはうまい牡蠣がある。牡蠣を上手に調理する人もいる。
おかげさまで、今年の冬も何とかなりそう。
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