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テスココ湖を思って

テスカトリポカへの愛を綴りたいのに、なんかもうどうすればいいのか分からない。

信仰が欲しいと思う。そこに物語があれば幸せだと思う。だから神話に心を奪われるのです。そして生きるのって辛いな、と感じるのです。

ブラッド・キャピタリズムも麻薬カルテルも、確かに知らない世界を垣間見てるようでドキドキもワクワクもするが、そんな心踊るような話じゃない。どちらかというと全く逆の、気の詰まるような読後感。

黒よりも昏いミトナルのような世界で、暴力の化身かと思う化け物コシモがその身に似つかわしくない純真で物語も世界も彗星のようにぶち抜いていく。しかもそれでいて世界観は全く損なわれない。
こんなのずるいと思う。
多分コシモは結局、神でなくパドレを信じていたんじゃないだろうか。不完全な人間であったから、あの結末があったんじゃないだろうか。

メキシコシティかあ。
ここからは遠いその街の彼の時代に想いを寄せて。

テスカトリポカ様。
すべてのものが乾く季節が終わり、雨の神トラロック様がふたたび
空をお歩きになられるよう、どうかお取り計らいください。
アステカの末裔に生きる糧をお与えください。
誇り高い死を迎える日をお許しください。
あなたは偉大な夜と風。
我らは彼の奴隷。
テスカトリポカ様。

テスカトリポカ



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