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【読書】外套(ゴーゴリ)『自信と傲慢の境界』

※出来るだけ、自分なりの読みをしてみる。

極寒のロシアの必需品「外套」が、纏う人間の性格を変える。

 

清書だけが生きがいの地味な主人公が、

綺麗な外套が手に入ることで急激に惑わされる。

何かこう嫁でも貰ったというのか、誰かさんがやっこさんと同席しているというのか、どうやらもはや一人ではなく、心許せる人生の伴侶ってのがともに人生を歩んでくれると約束してくれたような恰好であります。

鼻/外套/査察官(P.97)

 
一方、事の元凶である人物は、

外套を失うことで本来の自分を取り戻す。

この出来事があってから、おえらがたの人柄はがらりと変わった。今では部下に向かって「ほう、度胸があるねえ。誰と話しているつもりなんだ。前に立っているのが誰だかわかっているのか」なんて言うことは、めっきり少なくなった。

鼻/外套/査察官(P.135)

 
思いもよらないモノを手に入れて舞い上がり、自分を見失う。

自分はモノを持っている人間で偉いんだと、傲慢になる。

いつの時代も人間は変わらない。
 

* * *
 

近藤康太郎の聖地巡礼ではないが、芥川龍之介の「芋粥」と同じ筋をみつけて嬉しくなった。

ただ、冗談がすぎて、腕を小突かれたり、仕事の邪魔をされると、「そっとしておいてください。何だってみなさんはぼくをからかうんです」と呟くだけなのであります。その言葉づかい、それを言う声音には何か妙な調子がこもっておりました。

鼻/外套/査察官(P.74)

確かに、五位の『いけぬのう、おたちは。』と同じだった。

日本の文豪が、海外の文豪の作品を読んでいたのだとわかるのは、

作家の繋がりというか、影響を受けていたことを読み取れて面白い。


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