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発達の最近接領域【子どもの成長を促す関り方】

 はい、みなさんこんにちは!男性保育士のRyU先生です。子ども達の発達も随分と科学は解き明かしつつあり(もちろんまだまだ人体の神秘は深いままですが)、子どもが成長をする適正期における関わり方というものがあります。

 それを【発達の最近接領域(はったつのさいきんせつりょういき)】と難しい用語を使っているわけなのですが、要するに、ほんの少し大人が手伝ってあげることで子どもができるようになる、自分だけでできるまでの間にある領域のことを言います。

 まだ少し難しいですね。なので、もう少し噛み砕くために一例を取り上げるとしましょう。

 幼児さんになって鉄棒遊びが始まったクラスで、どうしても前回りができない子がいたとします。鉄棒には自分で乗ることができますし、握力が極端に低くて転落の危険性が特別高いというわけではありません。

 担任の先生はある日、その子が前回りができない原因を発見しました。鉄棒に上って身体を前方に倒していく時に、どんどん手に力が入っていくのが分かったのです。そして、その時のその子の顔は不安そうな顔をしていました。

 そうです、その子は怖くて手に力が入ってしまい、前回りをする時に必要な脱力ができていなかったのです。

 原因が分かると同時に一つの事実が判明します。そう、その子は怖くてできないだけで、運動能力的にも身体の発達的にも前回りをすることは可能なのです。そこで、担任の先生はしばらくその子についてあげて「安心して良いよ、手の力が抜けるとクルって身体が自分から回ってくれるんだよ」と声をかけ、回転になれる為に身体を支えながら援助を続けました。

 しばらくすると、その子から「もう先生は支えなくて良いよ!見てて!」と言ってきました。何度も一緒に練習をして、沢山の成功体験を重ねました。その時に一緒に居てくれた先生が前回りはできると信じて見守ってくれています。最初は手に力が入っていましたが、先生の顔を見るとニコっと笑って、手からは余計な力が抜け自分一人で前回りをすることができるようになったのです!

 この時の子においては前回りをするだけの力はすでに持っている状態でした。それが怖いという感情で、余計な力が入りできない状態を生み出していたのです。そこで、余計な力を抜くことができるように、最初は支えてあげながら前回りはできる、安心して良いんだよと最低限の援助をしました。

 この最低限の援助によって、子どもが自分の力で発達の課題をこなせるようになる適切期を【発達の最近接領域】と言うのです。

 過干渉でも一人ではできるようになりませんし、無干渉ではこの子はきっと前回りは怖いものだと感じ続けて鉄棒遊びを嫌いになってしまったでしょう。

 保育士の業務の多くはそうした発達や成長を促すお手伝いをすることでもあります。その時に【発達の最近接領域】という概念を頭に置いておくと、今この子にはまだ大人の援助が必要だ。この子は今まさに自分だけの力でできるようになる時期だ。と、必要十分なだけの援助を行うことを意識してできるようになります。

 それぞれの子どもに発達や成長の個人差があるように、一つの課題を取ってみてもそれぞれに【発達の最近接領域】が訪れる時期は異なり、そこで必要となる援助が心の援助であったり、技術の援助であったり、違う遊びを行って器用さを伸ばしてあげることであったりと、援助の種類が異なります。

 そこを汲み取ってあげるのが保育士の専門性です!と格好よく言いたい所ですが、熟練の保育士でもこうした理論は知らない方も多いです。

 難しい理論は取り敢えず置いといて、また気が向いた時に調べてみてください。今は過干渉も無干渉も、子どもの成長や発達に悪影響を与えることも、適切な時期に適当な援助を行うことで劇的な効果を生み出すことがあることも今日は覚えておいてください。

 では、また学ぼうね!


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