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【短編小説】医学生になったあなたへ。がん患者からのエール

合格おめでとうございます。
受験勉強、お疲れ様でした。
そして勉強が忙しいにもかかわらず、あの時、私の話を聞いてくれてありがとう。

医学生になって1ヶ月だけど、勉強大変かな?
微力で申し訳ないですが、合格のお祝いの代わりに手紙を書いてきました。



私はがんという病気を持っています。
いわゆるがん患者です。
でも、がんは私の一部にしか過ぎません。

幸いにも、私はがんという病気になったことで、素晴らしい人たちとめぐり逢えお友達になりました。

お医者さん、看護師さん、薬剤師さん、病院の職員さん、治験のコーディネーターさん、製薬企業の方々、同じ病気の友人、同じ境遇の友人、サポートしてくれる仲間たち、そして、あなたのような未来に希望ある若者たち。

がんになる前には信じられなかったくらい、本当に素晴らしい人たちが私の周りにはいます。みんな私の日常をはげましたり、元気づけたりしてくれています。

そんな素晴らしい人たちに出会い、囲まれ、ともに色んな経験をしました。
みんなからいつもとっても元気をもらっています。それは私の生きる力にもなっています。
もし、あなたが望むのなら、この素晴らしい人たちを紹介したい、会ってもらいたい、そして、ぜひ一緒に何かをやってみたい。

病気だけど、こういう人たちに恵まれて人生は彩りに溢れ、私はとっても幸せです。未来のがん治療も明るいな。とも思います。

ただ、時にさびしく思うこともあります。


私はあなたが成長した「未来」を見られない。ということです。


もし「未来」で、白衣を着ているあなたを見たら、どんなに嬉しいだろう。

もし「未来」で、あなたを先生!と呼べたら、どんなワクワクするだろう。

もし「未来」で、あなたが私を診察してくれたら、どんなに感動するだろう。


でも残念。


その「未来」という場所に私はもういません。

私の人生は、あともう少しかもしれない。
あなたと話ができるのは今のうちかもしれない。

なので、私なりのエールを送らせてください。


いつの時代も
お医者さんの存在は偉大で、とても難しい立場でもあると思うのです。

でも、そこに挑みながら
患者の心理を探求する医学生さんたちに本当に敬意を表しています。

そして、心から応援したい気持ちでいっぱいです。
こんなお医者さんに診てほしいと言われるような、魅力あるお医者さんの誕生を楽しみにしています。

身体に気をつけてね。
疲れたらちゃんと休むんだよ。
そしてまた会おうね。




この短編小説はMedipathyという活動から生まれた実話を少し脚色しています。

Medipathyはがん・難病の患者さんをお招きし、医学生をはじめとした医療系学生、医師をはじめとした医療従事者と患者さんが対話し、お互いの関係性が深まるような場を作っています。

目的は『疾患』の治療や課題の解決ではなく
患者さんの思う『病』を聴くことや対話を通して、お互いを理解し、関係性を深め、ネガティブな『病』をポジティブなものに変わる場所や時間をつくることです。

中には、医学部を目指す高校生も参加していただくことがあります。
勉強するモチベーションになりました!と言ってくれる人も多くいて、なんと、今年は『医学部に合格』した方も出ました。

なので、今後は医学部を目指す、もしくは医療系学部を目指す高校生に向けて、企画をしていこうと思っています。

直近は『6.1(土) 19時~21時』に行う予定です。
お話しくださる方は現在は20代前半の方で、高校生の時に骨肉腫という骨にできるがんになった方です。

「この人に会えてよかった。」
「こんな人のために私は医師になりたい。」
「勉強は大変だけど頑張ろう。」
と、誰もが思える素敵な方です。

興味のある方、ぜひ高校生に聞かせたい。と思う方
https://medipathy.one/
こちらのHPからのお問い合わせをお待ちしております。



また、5月19日にこの小説のモデルになった方と東京の神田で合同企画を行います。言葉では言い表せないほど、素敵な会になると思っています。
↓興味のある方はこちらから↓
https://www.facebook.com/events/1169804087340928/

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