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#62 私の仕事の評価軸/泖

【往復書簡 #62 のやりとり】
月曜日:及川恵子〈「よかったらぜひいいねボタン、高評価をお願いしまーす」的なもの〉
水曜日:泖〈もっとホメてくれ〉
金曜日:くろさわかな

もっとホメてくれ

自己制作のものだと、自分が満足すればそれでいいんですけど。でも、仕事って相手があってなんぼのものだから、自分だけ満足すればいいっていうのは少し違うのかもしれない、と個人的に感じています。

「仕事」のくくりになると、自分が満足したとしても相手が満足してくれなきゃ意味がない。でも、これだけに凝っていても、自分が満足できずに仕事を終えてしまうこともあります。そのときは社会人としての、いい具合の自己主張というものを身につけなければとめちゃくちゃ反省して、もっと成長せねばと悔しさのあまり酒をあおります。ただ、わたしは生意気にも相手のオーダーの中で自分の色をどこまで出せるかというのを考えるのがとても好きで。

もちろん、わたしの世界観とかが好きという前提で仕事をくれる人もいますが、やっぱりなかには「ものは試しに」みたいな感覚で仕事をくれる人もいます。どちらもとてもありがたいことです。しかし、後者のほうが、なんか挑戦しがいがある。手探りで関係性を築いていこうとする過程も好きなんですよね。「これはどう?」「こんなパターンもできるけどどう?」とか、色々な対話を楽しんでくれる人が仕事相手だと、とてもワクワクします。知り合い同士で仕事をする安心感はありますが、”探り合い”みたいなものが強い関係性で仕事をするのもすごく好きなんです。

そんな探り合いが強い関係性だった相手から、一緒に何かを創り上げる過程を経て仕事を評価してもらえると、一気に関係性が縮まる気がします。そういう瞬間がとても好き。

結果、個展のときにギャラリーのオーナーの方から「展示を依頼してほんとうに良かった」「もう個展最終日か、リュウさんが毎週来なくなるの寂しい」なんて嬉しいお言葉もいただくことができる。
しかも、それが派生して個展期間中に3回も来てくれたお客さんもいて、どれほどわたしの作品が素晴らしいかを熱弁してくれたあとに、わたしの目を見つめながら「ファンです」と何度も直接言ってくれる。

なんて嬉しいんだろう。
自分も満足して、相手も満足してくれる。やっぱり、相手ありきの仕事だけど、自分も満足しなきゃやってらんない。一応、好きなことだし、それを仕事としてちゃんとやるなら自分も満足しなくちゃいけない。それができなかったら、せっかくある好きなものを嫌いになってしまうと思うのです。そんなの嫌だ。

以前、仕事がうまくいかなくて悩んでいたときに、めちゃくちゃ尊敬している方から「あとは評価してもらうだけだから」と言ってもらえたとき、涙が出そうになるくらい、なぜかホッとしたのを思い出しました。
そして、人伝いに、その方が「才能がある」と言っていたことを聞いて、ますますやる気になりました。やはり自分以外の、そしてめちゃくちゃ尊敬している人からもらう言葉って、かなり重くて嬉しい。
毎回、「その人に届け!」と思いながら仕事をすると、かなりいい結果が出ることが多い気がします。

これからも、『SLAM DUNK』のフクちゃんばりに「もっとホメてくれ」と願いながら仕事をしようと思います。いい仕事すっぞ!

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追伸。
昨日、同僚から仙台駅のパン屋さんに松島名物の牡蠣カレーパンが売っていると聞いたので買って食べたのですが、なんでもかんでも仙台駅に集約するのはいかがなものか、とも思いました。

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