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#62 私の仕事の評価軸/及川恵子

「よかったらぜひいいねボタン、高評価をお願いしまーす」的なもの

自分では「うまくいった!」と思うものがなかなか評価されなかったり、
それとは逆に「うまくまとめられなかったのでは…」と思うものにすごく喜んでいただけたり…。

著名な作家でもコラムニストでもない限り、文章を書く仕事に就くというのはその成果品を受け取った人に評価されてなんぼの世界で生きている(わたしの場合はかろうじて生きている)ことになるわけですが、そんな世界に足を踏み入れてしまった我々は、冒頭のような理想と現実(もしくは妄想と現実)を常に突きつけられているような気がしています。
それはなかなかにつらい。
結果、自分の実力のなさと情けなさにいつも悔し涙を流してばかりいます。

しかし、
「ああ、私の書いた文章が誰かの心に響いたんだな」と思えるとても幸せな出来事が時々起こるのです。

例えば数年前。
クライアントから
「ネットで及川さんの文章を読んだそうで、ぜひ及川さんに取材をしてほしい!という企業があるのですが…」
と、連絡をいただいたことがあります。

それはとある福祉団体の職員の方だったのですが、インターネット上にある私の文章を読んで気に入ってくれたのだとか。
私の顔よりも先に“私が書いた文章”を知ってくれているだなんて、今思い返しても、とても稀有な存在だったなあと痛感します。

自分の知らないところで
私が書いた文章が
誰かに届いている

これ以上にいい仕事をしたと思わせてくれた出来事って、他にあるかな。

こうして、時々この出来事を思い出しては自分を鼓舞して、
さらに、
またこういう出来事が起きてほしいと願いながら、
目の前の仕事に取り組んでいかないと…、と思うばかりです。

そして欲を言えば、
「この人、いい文章書くなあ」と思ったら、
ぜひ何かの手段でお便りが欲しいなあと思ってしまいます。
大きな励みになりますので…。

及川恵子