#34 私の◯◯運／泖

【往復書簡 #34 のやりとり】
月曜日：及川恵子〈スーパーマーケットに鬼門あり〉
水曜日：泖〈小心ギャンブラー〉
金曜日：くろさわかな

小心ギャンブラー

わたしはガチャガチャが大好きです。

ガチャポン、とも言いますね。ちょーかっこよく言うと、カプセルトイ、というやつです。

昔から賭け事がとても苦手で、遊びで何かを賭けたゲームに参加しても喜ばしい結果を残した記憶はほとんどありません。しかし、困ったことに賭け事は好きなのです。

あのドキドキハラハラ感、何事にも変え難い。稀に当たったときの達成感は山の頂上で「生きててよかった〜〜〜〜」と叫びたくなるレベル。登山したことないけど。

でも、賭け事のセンスがないのは自覚してます。そこで最小限に、誰にも迷惑をかけずに、自分だけの楽しみとして選んだギャンブルが、ガチャガチャなのです。

ガチャガチャのこととなると、わたしは正真正銘のろくでもねぇギャンブラーになります。

「あともう一回……」
「あともう一回やればこいつが取れる……」
「もう一回……」
「もう一回だけ、これが最後だぜ……」
「いや、もう一回、マジでお願い……」
「いやいやほんとマジでお願い……後生ですから……」

と、こんな調子です。禁断症状が出ます。

なぜこんなに必死になるのかというと、賭け事が好きという以前に、ガチャガチャの商品がとてもツボなのです。ところが、ガチャガチャなら、なんでもかんでも手を出しているわけではありません。

自分の中の「かわいいセンサー」が作動しないとダメなんです。

たべっ子どうぶつシリーズ、セサミストリート、サンリオ、藤子不二雄系、動物系、三国志、古代エジプト系などなど。そういうガチャガチャにかなり弱いです。はい。

たまに友達が好きそうなガチャガチャを見つけると、「友達のために」という謎の使命感でレバーを回して、獲得したオモチャを友達にあげます。もはや自分はレバーを回したいだけ。勝手な使命感って怖い。

ロックオンしたガチャガチャには、必ず目当てのものが一つあります。どれが当たってもいい、と思うガチャガチャに出合えるのは奇跡に近い。大抵は、目当てのもの以外が出ると、冒頭の禁断症状が出はじめます。

しかし！
なぜなのかは分かりませんが、最近、とてもガチャガチャ運がいいのです。

目当てのものがゲットできなくても、「あ、実は心の隅で君のことちょっと気になってたの……」みたいなものが当たるんです。

あと、以前は何回やっても目当てのものは当たらなかったのに、一発で当てたり、2〜3回挑戦すれば当てられたり。

思えば、お二人と初詣に行って大吉を引いたあたりから、運が上がってきている気がします。

初詣というタイミングで、人生で初めて大吉を引いた嬉しさから、おみくじを持って帰ってきたのですが、それを見直してみると、ガチャガチャ運が上向く気配しかないんです。

だってね。

このみくじの人は、朝日が昇るように、これまでの努力や苦労が実を結び運勢は大いに宜しく諸事都合よく運ぶでしょう。

願い事：思うままに叶う

商売・売買：買うに利あり

待ち人：早めに来る

縁談：良縁ととのう

訴訟・争い事：必ず利あり

って書いてあるんですよ！

すごくない！？

ちゃんと朝日が昇るようにこれまでの努力や苦労が実を結んでガチャガチャで成果出してるし、願い事（ガチャガチャで目当てのものを出すこと）は思うままに叶ってるし、商売・売買（ガチャガチャでの駆け引き）は「ここでやめるか？」ってときにもう一回やると欲しいものが出るし、待ち人（ガチャガチャでの目当てのもの）は早めに来てるし、縁談（目当てのものがあるガチャガチャとの遭遇）は良縁しか来てないし、訴訟・争い事（ガチャガチャでの駆け引きで生じる自分との戦い）には必ず利があるし！

すごくない！？

塩釜神社様様ですわ。
ガチャガチャ運を上げてくれてありがとうございます。

近いうち、ちゃんとお礼のお参りしなきゃ。

自分を楽しませることと、支えてくれる人・ものへの感謝を忘れないのが小心ギャンブラーの取り柄なもので。

追伸。
「ミナリ」って映画が、めちゃくちゃよかったです。もしよければ。

映画『ミナリ』公式サイト