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好きな曲と、連想する家族の話

お読みいただきありがとうございます。
この記事はCoaching Advent Calendar 2022に寄せて書きました。

Pixel Galaxy

2017年10月23日

当時の自分は大学1年生で、一人暮らしを始めてまだ半年。毎日がカラフルで楽しい一方、一人で過ごすときは孤独感・焦燥感も感じていた。

そんな夜に、ベッドでネットサーフィンしていたらこんな曲を見つけた。



毎日が窮屈そうなKeriと不思議な女の子(?)のsnailchanが突然出会い、そしてお別れするまでのストーリー。星のカービィがモチーフとして色んな所に登場している。

この曲を聴くと、実家に置いてきてしまった自分の何かを思い出す気がして、心がきゅっとなった。

幼少期の自分はゲーム大好きな一人っ子だった。
父親と対戦ゲームで遊んだり、祖父母宅に顔を見せにいってもゲームばかりして、母親に叱られたりしていた。
自分にとっての「ゲーム」は、家族の記憶と結びついているらしい。

曲の明るさと切なさが自分の記憶を呼び起こして、部屋に一人で居ることも相まっておセンチな気持ちになった。とりあえず次に帰省する時は、今度はゲームを持たずに祖父母に会いに行きたいなあ、などと考えていた。



2022年3月7日

母方の祖父が亡くなった。急死だった。


…というワケではなく、家族も自分も何となく察していたことだった。

しかし自分は、祖父が体調を崩してからの3~4年、ちゃんと会えていなかった。大学が忙しくてあまり帰省していなかったし、落ち着いたと思った矢先、コロナによって介護施設へのお見舞いそのものが難しくなっていた。

―――という言い訳をして、会うことを先送りにしていた自分もいる。

お葬式は、身内で小さく小さく行われた。10年前の、母方の祖母のお葬式と同じ様式・同じ担当者・同じ神主さんの元で祖父は見送られた。

後から神主さんが、
「『妻(祖母)と同じが良い』、『子供たちに手間や迷惑をかけたくない』という祖父の意向がありました」と教えてくれた。

自分は特別泣いたりすることは無く、親や親戚も気持ちの整理は既に済んでいたようで、全然湿っぽい空気にはならなかった。

「本当に寝てるみたいだねぇ」「でも芯から冷たいね」と、
親戚一同で祖父の頬をペタペタ触ったり、
想像よりもずっと小さかった骨をみんなで拾ったりした。

その時の自分は、当たり前のことだけど
「じいちゃんの、生きている成分はもう無くなってしまったんだなあ」
という事を考えていた。



2022年7月

それからしばらく経った頃、友人でありコーチングコミュニティの運営も行うりょっちから、こんなお誘いがあった。

「家族と話すコーチングセッションの参加者を募集してるけどどう?」

何となくピンとくるものがあって、自分はすぐに申し込んだ。

自分に遺された最後の祖父母である、父方の祖母とちゃんと話がしてみたかった。

幼少期の自分は祖母に一番懐いていたように思う。一緒にバスに乗って、祖母の京都旅行についていったこともあった。
それなのに、当の自分はやっぱり景色よりも手元のゲームに夢中で、ちゃんと祖母と話していた記憶がやや薄い。

今年92歳になる祖母、いつも優しかった祖母、祖母をいつか見送る時に、自分の中の思い出が「祖母 < ゲーム」のまま、というのはあんまりだ。


Restart!

2022年10月28日

りょっちの好意で、家族セッションは静岡の実家で開かれることになった。

京都の下宿から京都駅へ向かうためバスに乗っている最中に、
Youtubeでこんな動画を見つけた。


snailchan and Keri meet each other for the first time in many years...

Snail's house, Restart!

それは、2017年に公開された「Pixel Galaxy」の再生回数が1億回を突破したことを記念して、作者のSnail's houseさんが用意してくれた新曲だった。

お別れしたと思っていたKeriとSnailchanのアフターストーリー、公開日はPixel Galaxyと同日の2022年10月23日。自分にとっては完全にサプライズで、座席で飛び上がりそうだった。

はやる気持ちをおさえて動画を再生すると、
先の「Pixel Galaxy」から始まって、これまでの作品のキャラクター・場面が散りばめられている。
Pixel ~ Restart! までの5年間という時間がこの1曲に集約されていて、Snail's houseさんや関わったクリエイターの方々の大きな愛を感じた。


「作品愛が伝わってくる…」
「二人はちゃんとまた会えたんだ、良かった…!! 」
「前はSnailchanがもてなされて、お風呂に入れられていたのに、今はKeriがお風呂に入る側になってる…!!」
「こんなに長い時間を共に過ごしていたら、母娘の様な関係になるのかな」

そしてステージの歌手が二人に魔法をかけて、二人が出会った場面を追体験しているとき、

なぜか泣きそうな気持ちになって、バスの中で視界が滲んでいた。

「こんなハッピーな曲で、何がどうして…??」
自分の中で何が起こっているのか、自分でもよく分からなかったけど
とにかく感情が溢れてきて大変だった。


その後りょっちと合流し、静岡の実家で2時間ゆっくりと祖母と話した。

生まれの話、戦争経験、祖父との馴れ初め、息子(父)への思いなど、祖母から直接語られる人生の話を70年分くらい聞いた。どれも聞いたことがない話ばかりだった。

そして祖母から孫への、沢山の応援や愛情をもらった。あとミカンも沢山もらった。

自分は変に縮こまってしまって、思うように話せていたか不安が残っている。
けれど、ゲームばっかりだった幼少期の自分が伝えたかった、感謝の気持ちや「好き」という気持ちは多分伝わったんじゃないかな、と思う。




あとがき


元々は「2022年に聴いた好きな曲を語りたい!! 語らせてくれ…!!」と
いう記事を書いていました。ですが、るっかすさんの記事を読んで衝撃を受けたので、自分も家族の事を思い出しながら好きな曲に込めた思いを話させてもらいました。


日常で触れる音楽の魅力は「一人一人のその瞬間・その場面にフィットする曲があること」かな、と考えています。

人は自然と、その時々の自分に合った音楽を選んで聴いている、ように思います。それを紐解いて「何が琴線に触れたのか、何を思い出しているのか」を聞いていくと、その人をその人たらしめるものが見えてくる気がします。

思えばそれが、その人の「生きている成分」だし、
祖父とは本当は、もっとそういう話を聞いておきたかったです。

「音楽の、『人の内側と結びついて、外側へ表現する手段にもなっている』という側面に、何かコーチングと重なる部分があるなあ」と思って
このあとがきを書きました。参考になるものがあれば幸いです。

…こう話すと、
「この人に好きな曲の話するのプレッシャーだからやめとこ…」
みたいに思われそうで心配ですが笑💦

機会があったら皆さんの推し曲もぜひ教えてください!
ぜひぜひ、理由も聞かせてくださいね (圧)

最後までお読みいただき、ありがとうございました🙇


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