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【このラノ5冠記念】『お隣の天使様』の魅力を語りたい

宝島社発行のライトノベルガイドブック、「このライトノベルがすごい!」の2024年版において、佐伯さん先生の『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされてしまった件』が、「文庫部門第1位」「WEBアンケート第1位」「キャラクター女性部門第1位」「キャラクター男性部門第1位」「イラストレーター部門第1位」ということで、なんと5冠を達成しました。

Xユーザーのはねこと🌻 お隣の天使様8.5巻9月発売さん: 「「このライトノベルがすごい!2024」にて『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』第1位を頂きました!沢山の部門で1位を頂けてとても嬉しいです。応援してくださった皆様本当にありがとうございました!これからも #お隣の天使様 を宜しくお願い致します。 https://t.co/i91ZOOJ5LR」 / X (twitter.com)

この作品は私個人が今まで読んできた作品の中でもトップクラスに好きな作品ですので、今回紹介させていただきます。

The なろう系なタイトルに騙されることなかれ。まあなろう発ではあるんだけど。

あらすじはこんな感じ。(以下公式サイトより)

藤宮周の住むマンションの隣には、学校で一番の美少女・椎名真昼が住んでいる。特に関わり合いのなかった二人だが、雨の中ずぶ濡れになった彼女に傘を貸したことから、不思議な交流が始まった。
 自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて、食事をつくり、部屋を掃除し、なにかと世話を焼く真昼。
 家族の繋がりに飢え、次第に心を開いて甘えるようになる真昼と、彼女からの好意に自信を持ちきれない周。素直でないながらも二人は少しずつ距離を縮めていく……
「小説家になろう」で絶大な支持を集める、素っ気なくも可愛い隣人との甘く焦れったい恋の物語。

GA文庫「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」特設ページより

※主人公の名前の読み方は「ふじみや あまね」。

ここからはネット記事ではあまり触れられていない作品の魅力を紹介していこうと思います。


とにかく描写が丁寧。二人が生み出す穏やかな雰囲気

元々人気だった中アニメ化によってさらに人気が爆発したイメージのある本作ですが、個人的にはラノベ原作がダントツでおすすめです。

その理由が、原作におけるめちゃくちゃ丁寧な描写

例えば主人公・藤宮周(以下「周」)とヒロイン・椎名真昼(以下「真昼」)のファーストコンタクトの場面。

 ここでまた話しかけていけば確実に嫌がられるので、もう撤退するべきなのだろう。
 幸いというか、別に真昼によく思われようが悪く思われようが関わりがないので、あっさりと放っておいて帰るということを決断できた。
 ただまあ、ここで少女がずぶ濡れになって一人ぼっちで居る、というのも居心地が悪い。
 「風邪引くし、さして帰れよ。返さなくていいから」
 なので、最後にお節介を一つだけ落としていく。
 風邪でも引かれると何となく寝覚めが悪い、そう思ったから今まで頭上を覆っていた傘を差し出す。
 彼女に受け取らせた、正しく言えば押し付けた周は、彼女の唇が動く前に背を向けた。

第一巻 第一話『天使様との出会い』より

ごめんなさい抜粋が長くなりました。警戒心MAXの真昼に周が傘を差し出すシーンです。

…このシーンを読むだけでも、周がどこか適当だけど優しい性格であることが伝わってきます。…きますよね?

シンプルなキャラの動きであっても、その心境含め細かく描かれているため、繊細かつ落ち着きを感じさせる作風が生み出されています。

たまーに描写多すぎて物語が一向に進まない場面もありますが(笑)、この丁寧さ・繊細さは本作の大きな魅力だと思います。


ヒロインだけでなく主人公も好きになる!?藤宮周くんの魅力

原作ver.

冒頭で話したように『お隣の天使様』は「このライトノベルがすごい!」のキャラクター男性部門でも受賞しています。つまり、主人公の周も人気キャラクターだということです。

それもそのはず。この作品はヒロインの真昼だけでなく、周もとても魅力的に描かれているんですよね。

まず彼は基本無気力人間ですが、彼は一度認めた相手に対しては非常に優しく、かつ察しが良いタイプです。

なので真昼の些細な変化にも気づくことができ、気を遣ってくれます。ここまで聞くとまさに性格イケメン。

ですがその一方で、自分に向けられた評価や好感に対しては鈍感であり、また自身を卑下する発言が多く、物語が進むと人間関係に対してどこか臆病になっている描写がだんだん目立ってきます。

彼がこのような性格になったのにもちゃんと理由があるのですが…この「すごく良いやつだけど同時に心の弱さを抱えている」という周の性格は、先述した心情描写の丁寧さも相まってとてもリアリティを感じさせますし、筆者の共感を誘いました。

真昼のために勇気を出す場面では「よく言った!」と称えたくなったり、逆に日和っている場面では「そこはお前もっと自信持てよ!」と言いたくなったり。とにかく彼は応援したくなるキャラです。

アニメver.

加えて、最初は本当に真昼に興味がなかったのが、彼女の新しい顔を見ていく内に、彼にとっての真昼の存在がすこーしずつ変わっていく過程がとても素敵。

ざっくり書くと
「隣人だが住む世界の違う『天使様』」
 ↓↓↓
「何だか放っておけないやつ」
 ↓↓↓
「そばにいてほしいし、そばにいてあげたい人」
って感じですかね。

真昼への思いと「自分には釣り合わない」という劣等感に振り回されながら、彼は物語内で精神的に大きく成長していくことになります。皆さんにもぜひ彼の心の変化と成長を見届けて頂きたいです。


やはりこれは外せない。真昼の圧倒的ヒロイン力

原作ver.

周について結構長く語ってしまいましたが、もちろん真昼もめちゃくちゃ魅力的です。

まず見た目が超可愛い。特に、作中で「亜麻色の髪」と形容される明るい髪色が特徴的で、どこか儚げな雰囲気を纏っています。

はねこと先生のイラストが毎回美麗で素晴らしく、またアニメの方でも私服や髪型が毎回変わっていて色んな可愛さを見せてくれます。

彼女は普段の学校生活では「天使様モード」で常に明るく振舞っているのですが、傘をもらった一件で取り繕う必要がなくなった周に対しては、序盤では所々トゲを感じさせる言葉で話します。ツンツンです。

ですがその後、ぶっきらぼうながらも優しい周との時間をだんだん心地よく感じるようになり、態度もだんだん柔らかくなっていきます。

アニメver.

やがて周の前では素の自分を見せるようになり、彼の心を揺さぶり始めるのです。

この素の真昼が可愛いんですよ。作り物ではない年相応の笑顔を見せたり、周に甘えるような行動を取ったり…

しかもそれを恋心を自覚する前から無意識にやってるってのが特にヤバい。彼女の無防備さと可愛さの暴力で、破壊力がすごいことになっています。

あと真昼の方も周への想いが変わっていく過程が見ていて甘酸っぱいです。

「お隣に住む、放っておけない『駄目人間』」
 ↓↓↓
「案外気を遣ってくれる、一緒にいて落ち着く人」
 ↓↓↓
「『あなたしかいない』、と思える人」
簡単に書くとこんな感じですかね。

(とある過去から)人からの評価に臆病になっていた彼女が、周と出会って少しずつ変わっていくのが印象的。彼女の可愛さだけでなくこういった要素にも注目です。


まとめ:雰囲気が素敵。等身大な二人を応援したくなる

まだこの作品の全ての魅力を語り切れてはいませんが…言いたいことは言い切ったのでここまでにします。

赤澤樹・白河千歳カップルの話もしたかったな…

ジャンルとしてはラブコメですがコメディ少な目。二人の距離感やキャラの掘り下げがとにかく丁寧なので感情移入しやすい。

あと作品の雰囲気が魅力とも書きましたが、これに関しては実際に作品に触れてもらわないと伝わらないのでぜひ一度味わって下さい。

個人的には小説を推しますが、コミカライズ版、アニメ版の方もそれぞれの魅力があります。

コミカライズ版は心情描写の取捨選択が上手く、繊細さとテンポを両立しています。絵も原作に負けず劣らず。あとアニメより周の表情が豊かです。

アニメ版はキャラの動きや表情変化が映像で見られる他、周役の坂泰斗さん、真昼役の石見舞菜香さんの演技が素晴らしいです。個人的には解釈一致でした。ただ12話構成に落とし込むために結構削られているシーンや描写も多いです。

筆者としてはとにかく作品に触れて頂きたいのでお好みでどうぞ。それでは今回はこのへんで。

ここまで読んでいただきありがとうございました。 寂しがりぼっちなのでスキを頂けると大変励みになります。モチベ爆上がりします!