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【stand.fm音声配信“上海生活のリアル”】清華大学はなぜアジアナンバーワンになったのか?

2021年7月27日から30日にわたって、R(アール)が寺子屋LIVEで音声配信をした「中国の教育」について、文字起こししたノートをシェアいたします。あえて記事のまとめは行いません。みなさんと一緒にタイトルの問いの答えを考えたいです。

箇条書きで読みにくいところもあると思いますが、ご了承いただければと思います。また、ご意見ご感想及びスキをいただけると励みになります!

文字にすると非常に無味乾燥な印象を受けますね。stand.fmの寺子屋LIVEではR(アール)の実体験をもとに補足説明しておりますし、以下のノート以外の情報もお話ししております。ご興味ある方は、音声配信もお楽しみください。

第1話:大学進学率と勉強時間の日中比較となぜ公立なのに質が違う理由とは?

・大学の進学率(2018データ)
日本 53.3%
中国 48.1%
ほぼ両国とも50%レベル。

出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)


・教育の方針
日本 平均点教育→均一の質の教育で全教科を学ぶ
中国 成績偏重主義のエリート教育→地域格差、不均一な質の教育、地域差の不平等

・OECD調べの勉強時間(2015、15歳対象)
学校週平均;
日本 27.5時間 
中国 30.1時間(北京、上海、江蘇省、広東省)

学校外週平均; 
日本 13.7時間
中国 27時間

・中国教育の課題 
→中国、音楽や趣味などの課外活動が少ないのが課題
→アスリート養成学校行かない人は、運動もしない?
→2019年 小学生近視率45.7%、中学生74.4%、高校生83.3%、大学生87.7%(人民日報インターネット版)

・何が違うのか?
日本よりも熾烈な受験戦争、都市部と農村部との格差

・中学高校が公立なのにレベルが違う?
1. おそらく、地方政府が教育費用のサポートしており、省別に教師の給与差が出ている(筆者の推測)

2. 地方貧困地域、農村部の教育資源は限られている
→良い先生も人数が限られている(給料に差、個人指導で収入?ここはグレー)
→良い大学で教育を受けるためには地方から都市部に出る必要がある。経済的負担大となる
→良い学校の学区が人気となる→移住する→住民票をとる、一方住宅は高騰する

・大都市の学校入学のハードルの高さ
→上海では60ヶ月の企業在籍でポイントを取得して初めて住民票申請ができる
→中国人同僚の例
奥さんと本人、浙江省。上海住民票なし、上海に住んだこともなし、戸籍の浙江省の実家に現在住んでいる人もいない状態。結果、小学2年生のお子さんは上海の公立小学校に入学できずに、私立学校へ入学した
→広州市の例
筆者は2016年4月2020年10月まで有名中学の近くに住んでいた。マンション面積190m2の3LDK、築20年(熊谷組)の物件で約1億5千万円で販売、不動産の高騰が理解できる

*地域間格差が大きいのが現状、経済的負担は深刻

第2話:日本とは違う大学入試統一試験

・中国の大学入試統一試験(高考)
1952年 スタート
2020年 地方ごとにばらつきがあった高考を統一、課外活動などを含めた総合評価に移行(でも競争は熾烈を極める)

・試験日は大イベント!
→広州市にいたときは車渋滞の情報など政府から連絡あり
→地方から試験会場に出発する長距離バスを見送る親御さんたちの映像がテレビで流れる
→同僚に聞くと辛いのかあまり話をすすんでしてくれない(盛り上がらない→辛い経験?)
→上海出張時、カンニング防止特集をCCTV(中央テレビ)で放映、タイの例を紹介
→重慶出張時、試験会場近くで仕事で迎えに行く親御さんで大賑わい

・スポーツ選手、軍人、成績優秀者推薦ある

・清華大学、北京大学への入学は0.0003%前後、1000万人中3000人(1万人3人)

・地域によって大学入学の難易度が変わってしまう不思議
高考の入学スコアが大学が同じでも地域によって違ってしまう

理由① 大学も地域優先がある→地元の学生が選ぶ→教育機関が多い北京、天津、上海は入りやすい
理由② 貧困地域はスコアが下げられる(筆者の世代はスコアが加点された?)
理由③ 少数民族優遇(筆者の中国人より聞いた話)
→結果、地域で難易度の差が出てしまう→経済的余裕やコネがあれば有利な地域に

高考地域別難易度ランキング↓

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)

第3話:ITとAI化と大学に関する政策

・EdTech
地域格差を縮める方策としてEducation Technology(EdTech)が注目されている

・K12教育アプリ(K12:高校までの教育) 
1. 作業帮(ソフトバンクも投資)4億人ユーザー、ユーザー層の75.1%が35−44歳、地域は田舎、都市の河北省、山東省(比較的大学入学が激戦の地域)
2. 猿補導

・教育+AI
AI技術を導入しているメジャー企業は以下の3企業
1.好未来教育集団(TAL)
2.新東方教育科技集団(NOE&T)
3.iFLYTEK
→顔、表情、態度、行動認識、受け答え、学習結果→カリキュラム作成
*現時点は、実証サービス段階で実装には時間がかかりそう

・579件の融資案件
参考データ:2018年スタートアップ設立数8286企業

教育スタートアップ調達案件数推移↓

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)

教育スタートアップ分野別調達案件数↓

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)

・大学レベル向上の国家教育戦略「211工程」「985工程」→「双一流」
① 211工程
→1995年制定された政策:21世紀までに100大学を重点的に発展させる
→教育の質、研究レベル、マネジメント、大学経営の効率
→経済建設、社会発展における重要な問題を解決できる
→2019年時点112大学が指定

②985工程
→1998年5月江沢民国家主席が北京大学創立100周年大会で提言
→世界一流大学と世界的に知名度を持つ高レベルの研究型大学の育成→2020年まで
→科学技術と教育の発展は国家経済建設と社会発展における重要な要素
→人材は国を強くする
→2019年時点39大学が入選

③双一流(211工程と985工程を受け継いだ方針)
→世界一流大学、世界一流学科建設
→42世界一流大学、95一流学科

*結果として2019年Times Higher Educationで清華大学アジアナンバーワン
Times Higher Educationの評価項目の抜粋:教育の環境(留学生、男女比、教員vs学生数)、教育の質(Teaching,論文数?)、学校運営(財務系)など

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)

第4話:大学予算、中国のキャンパスライフ、留学生数


・トップ大学の清華大学と北京大学
→780億円/年予算
→科学研究費(優れたテーマに配布する研究資金)と教育事業を含めると、清華大学4200億円、北京大学1950億円の予算
→この莫大な予算を背景に海外より優秀な講師、研究員を招いて、講義をする
→北京大学ではハーバード、イェール、スタンフォードと中国の著名教授が教鞭をとる大学院を設置「燕京学堂」という
→就職先はファーウェイが一番

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  出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)


・日本は国立大学運営費が2004年をピークに減少1.24兆円→1.1兆を切る
交付金 東大:04年1000億円→18年760億円
科学研究費600億、授業料700億(2019年予算)を含めると東大2000億円強


東大の基金が100億円になったという記事。日本の公立私立大学の基金が減少↓

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    出典:“グローバル教育と政治(2)大学基金10兆円の「賭け」“ 21年7月30日 日本経済新聞


・キャンパスライフ
 →寮生活、4人一部屋が基本 
 →大学の校舎、寮、図書館の3箇所を行き来する大学生活、とにかく勉強中心
→清華大学400万平米、東京ドーム84個分、公安や郵便局、ホテル、博物館ある、工場もある、清華大学はスポーツも重視している

・海亀(留学先から戻ってくる学生たち)
→以下、留学生を中国に戻す政府政策の抜粋。
1994年 百人計画を開始
2008年 海外高層次人材引進計画(千人計画)

→添付グラフと通り、2003年に比べ、留学生が中国に戻って来ているのが理解できる

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)

参考資料として中国と日本の留学生数の比較↓

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出典:“清華大学が見た最先端社会、中国のリアル”(夏目英男)



参考資料;

グローバル教育と政治(2)大学基金10兆円の「賭け」:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74315220Z20C21A7PD0000/

以上のウェブサイトのほか、多くのインタネットを参考にしましたが、記録していません。「デジタル人民元」の回より公開いたします。ご了承ください。

参考文献;


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