見出し画像

【stand.fm音声配信“上海生活のリアル”】ゲーム産業締め付けに追い討ち

2021年8月30日、中国のメディアやゲーム産業を管轄する国家新聞出版署より、未成年者(18歳未満)によるネットゲームの利用を厳しく制限する方針を発表しました。

「ゲーム産業はどうなるのか?」でもお伝えしましたように、中国政府のゲームの規制が厳しくなりそうと予測しておりましたが、8月30日に新たな規制が発表となりました。

今回は規制の内容とマーケットの反応を整理したいと思います。

今までの規制の内容

2019年、国家新聞出版署は未成年者のネットゲーム利用に関して、
祝日に1日3時間、それ以外の日は1時間半を超えてはならないとするといった規制

新たな規制の内容

・国家新聞出版署からの発表内容は以下の2点です。
1)未成年者のネットゲーム利用は金曜、土曜、日曜と祝日の夜8時から9時までに限定する。
2)実名による利用登録も厳格化するよう求める。

企業の対応

「ゲーム産業はどうなるのか?」でお伝えしましたように、ゲーム企業は当局方針をくみ、先手を打って未成年者の利用時間や課金の制限など自主規制を敷いていました。例えばネット大手の騰訊控股(テンセント)は今月3日にも未成年者のゲーム利用を祝日は1日2時間まで、それ以外は1時間までに順次制限する方針を発表していました。

ゲーム市場の大きさ

・20年の中国ゲーム産業報告によると、中国国内ゲーム市場の売上高は前年比20.7%増の2786億元(約4兆4400億円)でゲーム市場としては世界最大

・ユーザー数は6億6700万人に達し、8割弱をスマホゲームが占める。

・ちなみにゲーム対戦を関する産業のeSportsは市場が急速に成長していることが背景にあり、2022年で市場規模は1800億元(3兆600億円)にのぼるとみられる。

マーケットの反応

中国市場
お膝元の中国ではゲーム大手の網易(ネットイース)が一時5%下落。動画配信大手のBilibili(ビリビリ)も一時7%安となった。

日本市場
31日の東京市場でも、中国を中心としたアジアの売上高が大きいネクソンが一時30日比5%安、コーエーテクモホールディングスが一時4%安となった。

アメリカ市場
中国でゲーム開発会社の買収を発表したばかりの米ジンガが一時前週末比2%下げた。ゲームソフト開発で中国でも販売する米アクティビジョン・ブリザードも一時3%安だった。

・ちなみに日本のモバイルゲーム21年1−6月で、トップ10に中国製が3つ入リマした。最上位は網易(ネットイース)のバトルシューティングゲーム「荒野行動―スマホ版バトロワ」の7位でした。

・網易(ネットイース)は20年6月、東京・渋谷にゲーム開発拠点「桜花スタジオ」を開設し、日本のクリエーターを積極的に引き抜いています。

規制の目的は?

教育内容に加え、しつけなど家庭内の教育を充実させる法律についても政府は議論しており、子供の生活を細かく管理する方向に動いている。生活面の管理や思想教育の強化を通じて、若者の共産党への関心を高める狙いがある。(日本経済新聞)

参考資料;

中国の未成年ゲーム規制、国内ゲーム会社に影:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC312AB0R30C21A8000000/

世界のゲーム株が下落 中国「週末1日1時間」重荷に:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB314UU0R30C21A8000000/

中国、ゲームは「週末1日1時間」 強まる青少年管理:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM308P70Q1A830C2000000/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?