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マンガでわかる宇宙法のニーズ

宇宙ビジネス戦国時代だからこそ

今日、国内外を問わず、ロケット打上げサービスや衛星データ活用といった、宇宙に関わる数々のサービスが生まれています。

もっとも、宇宙空間は誰のものでもないことや、個人単位を超えて国単位の話となり得ること、活用している技術が最先端であることといった事情から、今までは(地球上のビジネスでは)考えられてこなかった問題も多く生じてきます。
そうであればこそ、必要になるのはルールです。
もしトラブルが起きた時に「何も決まっていないのでどうしようもない」という状態では、リスクを取ってビジネスに参入しようとする事業者の妨げになりかねません。
ルールを作るというと規制的な側面に着目されがちですが、リスクを事前に把握しやすくすることで新規参入を促す効果もあるのです。

COPUOSとは?

宇宙に関するルールとして有名なのは、いわゆる宇宙5条約(宇宙条約、宇宙救助返還協定、宇宙損害責任条約、宇宙物体登録条約、月協定)です。
これらは、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS : United Nation Committee on the Peaceful Use of Outer Space)で作成された法的拘束力のあるルールです。
なお、COPUOSは1958年に国連で初めて召集され、翌年に正式な委員会となり、2018年には92か国が参加するまでの団体となっています。

コンセンサス方式とソフトロー

COPUOSの中には、科学技術小委員会と法律小委員会があります。
宇宙条約、宇宙救助返還協定、宇宙損害責任条約、宇宙物体登録条約は法律小委員会での議論をもとに、1960〜1970年代に作成されました。

COPUOSではコンセンサス方式が採用され、参加国のうち1か国でも反対すると法的拘束力のあるルール形成ができない仕組みとなっています。そのため、現在では事実上、法的拘束力のあるルールは形成できない状態となってしまっています。
とはいえ、解決しなければならない(ルールを整備しなければならない)問題はいくつもあり、「ルールを作れないから仕方ないね」という訳にもいきません。
そこで、IADCスペースデブリ低減ガイドラインに見られるように、国連の外で法的拘束力のないルールが作られるなどしており、国連総会決議という形でも一定のルール形成がなされるようになっています。これを「ソフトロー」といいます(法的拘束力のあるルールは「ハードロー」といいます)。

COPUOS2019

2019年のCOPUOSが6月12〜21日に開催されます。
既に、科学技術小委員会は1月11〜22日に、法律小委員会は4月1〜12日に開催されています。
法律小委員会では、以下のトピックが議論され(出典:UNITED NATIONS Office for Outer Space Affairs Legal Subcommittee: 2019 Session Documents)、STMやコンステレーションなどのホットトピックが取り上げられています。
このあたりはまさに冒頭の「技術の進歩によって今まで生じてこなかった問題が生じる可能性があるのでルールを作らないといけない」という分野です。

・Information on the activities of international intergovernmental and non-governmental organizations relating to space law
・Status and application of the five United Nations treaties on outer space
・Matters relating to the definition and delimitation of outer space and the character and utilization of the geostationary orbit
・National legislation relevant to the peaceful exploration and use of outer space
・Capacity-building in space law
・Review and possible revision of the Principles Relevant to the Use of Nuclear Power Sources in Outer Space
・General exchange of information and views on legal mechanisms relating to space debris mitigation and remediation measures, taking into account the work of the Scientific and Technical Subcommittee
・General exchange of information on non-legally binding United Nations instruments on outer space
・General exchange of views on the legal aspects of space traffic management
・General exchange of views on the application of international law to small satellite activities
・General exchange of views on potential legal models for activities in the exploration, exploitation and utilization of space resources
・Proposals to the Committee on the Peaceful Uses of Outer Space for new items to be considered by the Legal Subcommittee at its fifty-ninth session

また、月協定採択40周年ということもあり、“The Moon Agreement Revisited: The Road Ahead”というテーマでシンポジウムが実施されています(HPにプレゼン資料がUPされています)。

おわりに

宇宙ビジネスは宇宙×何かで生まれますが、「何か」に入るワードは無数に存在するでしょう。そうであれば、起きうるトラブルや作っておくべきルールも無数にあるはずです。
とはいえ、現時点でそれを予測し、網羅的なルールを作るのは不可能ですし、実務にそぐわないルールを作るべきでもありません。
宇宙法に限らず、地球上の法律から会社のルールに至るまで、ルール作りには実務の状況や課題を認識する力が求められます。

参考:
・UNITED NATIONS Office for Outer Space Affairs HP
・宇宙ビジネスのための宇宙法入門第2版 小塚荘一郎・佐藤雅彦

マンガ:
昭和が生んだ天才美少女漫画家、あんじゅ先生が運営するオンラインサロン「あんマンサロン」に所属するまんがたりさんに作成いただきました。
ありがとうございます!

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ご覧いただきありがとうございます!!
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技術×法で社会課題の解決に挑みつつ、宇宙に関するルールを研究・発信、スタートアップを支援する弁護士。リーマンサット・プロジェクト知財法務部 / 第一東京弁護士会総合法律研究所宇宙法部会 / 一般社団法人ABLab監事 / 一般社団法人日本スペースロー研究会理事

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