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「志」が照らされる場、QWSステージ。

渋谷スクランブルスクエアの15階にある「SHIBUYA QWS」。人が出会い、問いが発酵して、世界に未知の価値が生まれる場所。そんな場所で今日1月25日ピッチイベントがあった。言葉には賞味期限があると思うから、早速自分の感じたこと・考えたことを書き留めてみる。普段、鳥肌が立つことはあまりないのだけど、今日1月25日は6回も鳥肌が立った。


0. 影山知明さんによるキーノートトーク

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』という本の著者として影山さんを私淑ししゅく していた。札幌のゲストハウスで前述の本をおすすめしてもらったのがきっかけだ。しかし、実際に自分の目で見ると「影山知明」さんがはっきりと輪郭をもった。本居宣長の言葉をmisquote誤って引用すると、「姿ハ似セ難ク、意ハ似セ易シ」である。ご本人の立ち姿がすべてを語っている。影山さんは、マッキンゼー・アンド・カンパニー社、ベンチャーキャピタルの創業に携わった後、生家を建て替えて『クルミドコーヒー』を開業した。上の階はシェアハウスとして利用されているそうだ。その遍歴は

機械論 から  生命論
利用し合う(Take)関係 から  支援し合う(Give)関係
仕事に人をつける から  人に仕事をつける

という気づきをもたらしたそうだ。「問いは光だ」という言葉が印象的だった。植物が陽の光に向かって、土壌や環境とともに樹形を変化させながら伸びるように、「1つ1つのいのちが大切にされる社会をつくるには」という問いに向かって活動されている影山さんの姿に鳥肌が立った。この文脈での「問い」は、佐藤一斎(坂本龍馬や吉田松陰の先生(=佐久間象山)の先生)が言う「志」を想起させた。

以下、各プロジェクトのピッチの感想を書き留めた。数分話を聞いただけであること、私が浅学であり経験も思考も浅いことから、読み流していただくことをお願いする。

1. 言葉のコレクションアプリ『biblog』|言葉をコレクションする習慣から、Interestは育めるか?

影山さんのキーノートトークと滑らかな接続を生むかのような「いい言葉はコンパス」という言葉が印象的だった。私は実際にこのアプリを使っている。シンプルで操作も簡単だ。優秀賞を受賞された。

2. ウルトラライトタウン|都市ってもっとライトにつくれないの?

「場づくりはモノだけではない」。私自身ワークショップの企画運営などをしたことがある。確かに、モノだけだと不十分で、その場のヒトの存在が鍵だと思う。画像生成AI活用には少し違和感を覚えたが、山梨県賞を受賞された。

3. IKO「板橋第十小学校の研究を面白くする会」|公立小学校で1000人の大人と出会うと子どもはどんなキャリアを描くのか?

鳥肌2回目。発表が熱量高くて圧倒された。「公立小学校で1000人の大人と出会うと子どもはどんなキャリアを描くのか?」という問いは最高におもしろそうで、実行した量も熱量もすごいが、小学生には「大人の話」より「体験や遊び」が必要なのではないかとも思った。子どもは、大人のいうことがそのまま自分たちのものの見方となることがあると思うからだ。最優秀賞を受賞された。

4. グラコミ| グラフィックコミュニケーションが、研究者を交えたコミュニケーションを円滑にする鍵になる?

鳥肌3回目。北海道時代、グラフィックレコーディングを生業としている方々が身近にいたから、少し親近感があった。ネットワーキングのときに私のつまらない問いに答えてくださって感謝。もっとお話をお聞きしたかった。

5. DEATHフェス実行委員会|お墓に、入りたいですか?

鳥肌4回目。この問いは斬新。4/14(よいしの日)にイベントを行うそうなので乞うご期待。「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」(村上春樹著「ノルウェイの森」)

6. Soullume Project|江戸東京野菜は東京の新しいグルメブランドになるのか?

QWS CROSSSTAGEでもお話を聞かせていただいた。高校生というだけでもうすごいなと思ってしまう。江戸東京野菜の認知度向上から「地元愛を持ってもらいたい」という問いの変遷があったそう。優秀賞を受賞された。

7. One by One Music|動物が音楽を聴く世界は訪れるだろうか?

ペットの分離不安症に対して、音楽によるストレス減を図る。音楽の生成プログラムで特許を出願されているそうでもうすごい。凄すぎるのに、CESにも出店されて、海外展開も始めているそう…。サブスクがメインだけど、里親とかには無料で提供。今後は多様な動物へ広げていくそう。表彰プレゼンターが「私の妻用につくってください」とユーモアを見せたのも面白かった。優秀賞と味の素賞をダブル受賞。

8. n拠点|拠点があることによって生まれる価値とは?

「拠点があることで生まれる価値とは?」という問い。益子町のふるさと納税の内容などを考案したりしているそう。QWSでの出会いがプロジェクト発足の契機で、共通認識から問いが生まれたそう。

9. SKIP 〜Silicon Valley Keio International Program〜|もし食べログならぬ「ひとログ」があったら? ~日本人の人としての魅力を掘り下げることで、日本の魅力を再発見したい~

鳥肌5回目。めっちゃいい。使いたい。もっとお話をお聞きしたかった…。私自身、函館という土地を人とのつながる中で大好きになったから、人を観光資源にして、地域コミュニティの中で人とのつながりや出会いを大切にするという考えには深く共感した。セブンイレブンジャパン賞受賞。

10. bansoo!!|行動変容を起こさせた時に、初めて紙に価値が宿るのではないか?

調身・調息・調心。
スマホをケースに収納して、紙に写経やジャーナリングなどを行なって調うための「ZENNOTE」。スマホのポケットが目に見えない位置だとよりいいなと思った。クラウドファンディングを行うそうなので、気になる方は情報のアンテナを張って応援しよう。

11. exp-and|限界理系大学院生を格好良くできるか

e^&と表記するのがカッコいい。ダサいとされている理系イメージをファッションで変えるプロジェクト。白衣の繊維からつくられたエンジニアコートを羽織れば、3秒で清潔感のある格好にチェンジできる。NTTデータ賞受賞。発想が斬新でおもしろかった。

12. Leap| 高校生の探究における学びを最大化する環境とは?

鳥肌6回目。CROSSSTAGEからの個人的な推しプロジェクト。私自身が地方出身で閉塞的な空気感と情報格差に身に覚えがあり、北海道の教育企業で1年間インターンしていたことにも起因するかもしれない。

13. toten|ことばに宿る想いが可視化されたら?

福島県双葉町にフォーカスしたプロジェクト。スライドと発表が洗練されていた。「東日本大震災」というワードとともに会場の空気が一変。ビジネスとしては難しいのかもしれないけど、もっと投資や審査員の評価があってもいいんじゃないかと思った。「聞くという行為を通してあなたを想っていることを表現する」という言葉が印象的だった。

N. 私の問いはなんだろう。

自分の光となる問いはなんだろう。志はなんだろう。圧倒的な熱量が今日のQWSステージにはあった。みなさんカッコよかった。いきいきしていた。「問いを探求する」言い換えるならば「志をもってその道で君子(学識・人格ともに優れている人)を目指す」人生を送りたいと思った。


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