音楽よもや話 〜レコード青春時代編その2(オリジナル盤やリイシュー盤)〜

RARE GROOVEやJAZZ FUNKにハマった僕はレコード屋に通う様になり、挙げ句の果てにはレコード屋で働く事になるのであった。

今でも覚えているのは面接の時に何か一枚のレコードのレビューを書いてこいと言われその年にDonald Byrdが亡くなった事もあり、Donald ByrdのElectric Byrdを選んだのを覚えている。最後の曲がFunkyなナンバーでカッコいい。あとアルバム全体を通してフリーっぽい雰囲気もあって荒々しくカッコいい。

 無事合格した僕は晴れてレコード屋の店員となるのであった。場所は渋谷の宇田川町。90年代レコードブーム全盛期、レコード屋の聖地と言われていた場所らしい。(今もそう思う)90年代程の盛り上がりは無いのかもしれないのが、そこで働ける事を誇らしく思った。

ちょうど自分が働き出した頃、ありがたい本が店頭に並んだ。

レア・グルーヴA to Zという本でいわゆるディスク・ガイド。レア・グルーヴと言われるジャンルのレコードのタイトルが多数掲載されている。またレア・グルーヴにまつわるちょっとした豆知識も載っており非常に勉強になった。

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レコードにはオリジナル盤とリイシュー盤(再発盤)というのがある。オリジナル盤というのは名前の通り、その当時発売された初版のレコードになる。リイシュー盤というのは、そのレコードが発売されてから何年も経ち再度プレスされ発売されたレコードになる。当然、時代も経過しているのでプレスしている工場そのものも変わってたりやアーティストの意向が通っていない不本意な音の状態でリリースされている事も少なく無い。ただレコードによってはオリジナル盤の数が少なく、希少価値が高く値段にプレミアが付いてたりする事もあるので、そういった盤に関してはリイシュー盤がありがたい事もある。(リイシュー盤でも拘って作られてる盤は音も良かったりする。)

自分が働き始めた頃レア・グルーヴA to Zという本が発売されたと同時にレア・グルーヴのリイシューのレコードが多数入荷された。オリジナルはどれも1万や2万円以上の価格帯のレコードが一枚1,000~2,000円の破格の値段くらいだった気がする。出版しているレーベルも聞いた事もない謎のレーベルだった。

レコードを知り尽くした先輩店員達はそんな謎のリイシューレコードもちろん見向きしなかったがオリジナルのありがたみやリイシューとの音違いなど、よくわからなかった当時の自分は、とてもおいしいレコードだと思って数枚購入した。(知るという意味では購入して良かったと思っている。)

僕は、これらのリイシューのレコードを当時とても、お世話になっていたSOUL BARに持って行った。マスターはこれらを大きなスピーカーでかけてくれたのだが一聴してすぐさまこう言った。

「亮三くん〜!これは音めちゃめちゃ悪いね!」

とてもショックを受けた。

その後マスターは同じタイトルのレコードのオリジナルを聴かせてくれた。まだ新人店員だった自分にもわかる程、全然音が違った。オリジナル盤の方がドラムの音やベースの音も太くそれでいて、音像もくっきりとしていた。対してリイシュー盤は密集している音域もあり聴き取りづらさもあり音もどこかシャキシャキしており軽く聴こえた。

「なるほど、、」


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繰り返しになるが音の良い、高いクオリティーのリイシュー盤も沢山あるし自分もリイシュー盤を購入する事は今でもある。ただプレスの違いやオリジナル盤とリイシューで音が変わる事がある事をその体験から学ぶ事ができた。

お店では好きなレコードを聴きながら働けたのだが、その体験から色々と聞き比べる様になった。

そんな感じでレコードの事やレア・グルーヴの定番のタイトルを僕は知っていった。

つづく



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オマケ

渋谷、宇多川町にはレコードをかけてくれたり、いつもDJがいるようなMusic Barが沢山ある。

ある時仕事終わりに先輩店員に連れてってもらったDJ BARでウェルドン・アービンというレア・グルーヴの代表的なアーティストの1人の曲がプレイされた。

先輩がレモンサワーを片手に僕に

「大林、お前ウェルドン・アービン好きだろ!?」

と聞いてきた。

正直曲は知らなかった。しかし僕は、そのジャンルでは定番のアーティストという事は知っていたため、無知を隠すためにと思い

「まあ、、好きです、、!」

なんとも絶妙な返答をしてしまった。

その後、好きと答えたからにはチェックしなければと思い、早速曲を調べたが素敵な曲に出会えた。あの時見栄をはったものの、これまた素敵なレア・グルーヴの曲と出会う事ができラッキーだった。


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