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東京大学に新たな量子ソフトウェア研究拠点🎉

10月25日、東京大学を代表機関とするチームが新たな「量子ソフトウェア研究拠点」形成のプロジェクトに採択されたとのプレスリリースがありました。

拠点概要は👇

体制、参画機関

プロジェクトリーダーは理学系研究科の藤堂眞治教授。参画機関は下記のとおり。

東大HPを筆者で加工
赤マーカは「量子ソフトウェア寄附講座」関係
青マーカは「量子イノベーションイニシアチブ協議会」関係
(重複する場合は赤マーカを優先)

藤堂先生は、2021年6月から、企業の協賛で開講している「量子ソフトウェア寄附講座」のご担当をされており、赤マーカは寄附講座の協賛・協力機関となっています。

また、青マーカは東大が運営する「量子イノベーションイニシアチブ協議会(QII)」の参画機関です(東大×IBMといえば関係者にはお馴染みですね。QIIについてはこちらの記事も参考。)

今回採択された研究プロジェクトの内容や参画企業を見ると、既存コンソーシアムで実績のある取組を核として、本格的な拠点として展開していこうとしているのかなと推測しています。

既存コンソ外から新たに加わっている沖縄科学技術大学院大学(量子技術イノベーション拠点の1つ)や自治体から唯一の参加となる川崎市(IBMの量子コンピュータ実機を設置)も面白い存在ですね。

また、理研は量子コンピュータ研究センター(RQC)ではなく計算科学センター(R-CCS)が参画するとのこと。HPCでの連携が主ということですね。

採択者からの情報発信

採択発表当日の関係者からの情報発信をまとめてみました。

政策的な背景など

政府は、近年の量子コンピュータ関連産業や研究開発の国際競争の激化などを踏まえて、令和4年4月に、新たな量子技術に関する戦略として「量子未来社会ビジョン」を策定しました。
(ビジョンの策定の背景などはこちらのマガジンにまとめています。)

これを受け、文部科学省は、量子技術分野での新たな量子ソフトウェア研究拠点の形成を目標として定め、科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」のプロジェクトとして公募しました。
その結果、東京大学からの提案が採択されることとなりました。

共創の場形成支援プログラムとは

共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)は、「大学等が中心となって未来のありたい社会像(拠点ビジョン)を策定し、その実現に向けた研究開発を推進するとともに、プロジェクト終了後も、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指す産学連携プログラム」です。(公式HPより)

支援の金額と期間は、年間最大4億円、最長10年間となっており、文部科学省の中でも規模が大きく息の長い施策となっています。

量子ソフトウェア研究拠点は大阪大学に続き2拠点目

COI-NEXTでは、令和2年度から大阪大学を「量子ソフトウェア研究拠点」として支援しており、東大拠点は阪大拠点に続く2拠点目の量子ソフトウェア研究拠点となります。

先輩の阪大拠点は、

  1. 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)を独立部局として創設(充実した体制構築)

  2. 30社以上の企業との連携

  3. 量子ソフトウェア勉強会の開催

  4. 量子スタートアップ創出(QunaSys, QuEL)

  5. 国産量子コンピュータのテストベッド整備に向けた準備

など、ミドルウェアも含めた量子ソフトウェア研究の"王道"的な取組に重点を置いて推進している印象です。

取組内容としては、ややエッジの効いた東大拠点と王道の阪大拠点でうまく補完関係にあると思っています。2拠点間でいい連携体制が構築されることを期待したいと思います。

ゲート型量子コンピュータに関する10年モノの産学連携プロジェクトということで、将来のハードウェアの進展に伴って2拠点がどのように花開いていくのか、とても楽しみです。

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