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<スポーツイベント編>スポーツ界をサーキュラーエコノミーで再考する: 『社会とサッカー』 03

「社会とサッカー」03は、サーキュラーエコノミーで考えるスポーツイベントについて。

去年末、コールドプレイが地球環境への負担を考慮し、コンサートツアーの中止を発表した。「これまでにたくさんの大型ツアーをやってきた。どうすれば奪うより与えるものが多いものに変えられるだろうか」とコメントを残している。時代の変わり目を感じさせるこの出来事は、地球環境の保全とエンタメの両立についての課題をスポーツ界にも突き刺している。
実際にスポーツ界でもすでにサーキュラーエコノミーの導入が始まっている。背景には、地球が壊れればビジネスもスポーツも存在できない、つまり、自分たちに未来はないよね、という意識の高まりがある。
スポーツ産業はモノをつくって販売して、施設を建てイベントを催すことで成り立っていて、そのあらゆるところで大量のモノと人が長距離を移動している。問題はそこで廃棄となる資材や排出される温室効果ガスが地球に悪影響を与えていること。実際に長年、W杯やオリンピック等のメガイベントは環境負荷が大きいことが業界内外から指摘されており、主催組織はあらゆる施策を実施している。
スポーツは楽しまなきゃいうエンタメ思考をリセットし、地球を守るためそれぞれが今までの在り方を改め、変わり始めている。
今回はそのスポーツイベント編。
前回の施設編はこちら


●サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミーとは何か。すごくわかりやすいこの記事を。


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今回のnoteでは、UEFA EUROにみるジレンマ、Super Bowlが示すサーキュラー型ゴミ処分、ヘルシンキ国際馬術大会から再考する盲点の活用、そしてVolvo Ocean レースから学ぶイベントインパクトを最大化する視点をメモ。

1. UEFA EURO

今年は6月にUEFA EURO2020が開催される。良くも悪くも好事例なので紹介したい。
UEFA EUROでは、2016年フランス大会より環境に優しい大会運営を実施していた。「eco calculator」と呼ばれるプログラムを開始し、フランスの開催地10都市に訪れる観戦者に「エコな移動手段」を勧めた。

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観戦者は、特設Webサイトおよびアプリ上で出発地・目的地・交通手段などを選ぶと、その移動手段ごとにかかる二酸化炭素排出量を知ることができ、また、より排出量の低い移動手段を提案される(二酸化炭素排出量はサッカーボールの数に置き換えられ、東京からリヨンまで飛行機で移動した場合のCO2排出量はボール40万個分(6.75トン)だった)。
実際にどの移動手段を選択するかどうかは観戦者に委ねられてしまうのだけれど、UEFAの環境に対する好姿勢を垣間見ることができた。
(サイト上から鉄道切符やレンタカー予約ができる仕組みだといいのかもね)

同大会の二酸化炭素排出量は約2,825,000トン。前大会より
内訳比率は、施設運営80%、移動20%、大会オペレーション1%となっている。さらにその詳細は下の図を。
(データ:UEFA EURO 2016 SOCIAL RESPONSIBILITY & SUSTAINABILITY POST event report 
https://www.uefa.com/MultimediaFiles/Download/OfficialDocument/uefaorg/General/02/42/47/58/2424758_DOWNLOAD.pdf

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それから4年経ち、UEFA EURO2020はある課題を突きつけられた。


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