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サッカーを通じた社会貢献活動の「今」

「サッカーを通じた社会貢献活動」。
考えてみれば、「サッカー」と「社会貢献活動」という言葉の組み合わせは最強で、実際にキャッチーだし、時勢的にもトレンディだ。日本サッカー界でも昨年から、Jリーグとクラブによる社会連携プロジェクト、通称「シャレン」が本格始動している。6月には女子サッカーW杯、その他スポーツでもラグビーW杯、東京2020を迎えるにあたり、日本でもスポーツの社会貢献活動はいよいよ面白くなっていく。

ただ、このnoteを書いたのは、トレンディなネタだからではない。
もっと根本的に、「サッカーと社会貢献活動」を伝えることでサッカーと社会が今より良くなることを願っているからで、誰かの勇気ある行動を応援すしたいからだ。

昨年実施したチャリティフットサル大会で参加者に会場での募金についてヒアリングをした。すると、「会場では募金しない。チームメンバーに募金をしているところを見られたくないから」という声が複数挙がった。しかも理由は「いろいろ言われそうだから」と一致していた。電車で席を譲りたいけど周りの目が気になって躊躇う心理と似ているのだけど、もったいなさを感じる。

残念ながら、日本サッカー界はサッカー協会やクラブなど組織云々の前に、サッカーに関わる個人個人の社会課題に対する関心が低い。ただ上記のような「隠れ勇者」は一定数いるのだから、問題は勇気ある行動をはばかる国民性というか空気の方にあるのかもしれない。一方で個々人のサッカーそのものに対する熱量はすごい。サッカーを強くしたい、普及したい、恩返ししたい、楽しみたいとサッカーには優しくて熱い。このサッカーの熱を社会に点火するスイッチがどこにあるのか明確な答えは見つけられていないが、1つの要素が「勇気の伝播」だと言える。勇気ある行動を応援する人が増えると、行動する人も応援する人も安心できるようになる。

私は「サッカーと社会貢献」は勇気を与えるものだと考えている。
「サッカーと社会貢献」について知ることは、これだけさまざまなの課題が混沌とする世界で、サッカーが人の暮らしや人生を変えるほどの力を至る所で発揮していることを発見する。私たちが私たちにできることを見つけ、勇気をだして意図的に行動できる人が増えれば、勇気をだして行動する人たちを応援するコミュニティが育てば、サッカーも社会も良くなる。

あなたが勇気を持って行動するならば、私たちはその勇気を全力で応援する。

このnoteは、「世界のサッカーを通じた社会貢献活動の基本情報」をまとめました。読んでもらえれば、日本と世界の大枠と特徴的な動向を知ることができます。日本にも世界にもすでにたくさんの素晴らしい活動、それを実行している人たちがいます。

でも、サッカーはまだ本気を出していない。
私たちにできることはこんなもんじゃないのだから。


目次
1. 定義
2. 市場規模
3. 担い手
  ーNGO
  ークラブ/クラブ財団
  ー選手
4. 活動体制
5. ハード支援の希少性と社会性


1. 定義

「サッカーを通じた社会貢献活動」の定義は、ここでは暫定的に「サッカーをツールに何かしらの社会課題を解決する活動」とします。活動の源泉は主に2種類。1つは、サッカーの社会的責任から生まれるもの(例:人種差別撤廃、ジェンダー平等)。もう1つは、課題解決を目的に始まるもので、サッカーをツールとして作用する具体例は以下の通り。

・ 人を集める
(例:サッカー大会を開いてHIV/AIDSの啓発)
・ 人に成長機会を提供する
(例:自己肯定感向上のサッカープログラム)
・ 人の関係性をつくる
(例:年齢、宗教、性別等の異なるメンバーでチーム構成)
・ 地域に可視化させる
(例:女性が日常的にサッカーすることを地域住民の目につくように行う)


2. 市場規模

実は一定規模でものすごく安定しています。
社会貢献分野(緊急支援を含む)における各サッカー組織の予算規模は、以下の通りです。

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