座敷わら爺?!

引き続き、アトラスラジオに投稿したお話です。
こちらは家族で旅行に行った時の話。
サムネに採用されてうれしかった~☺️


※これも投稿の元になった文章を載せておきます。アルファベットになってるところは投稿では実際の名称を記載していました。







あれは、16、7年前のことかと思います。

母と兄と私とで、K県のJという旅館に行った時のこと。。


今、ホームページで確認するととてもきれいな写真が載っていて、そんな宿には見えないのですが、私たちが訪れた時はとても古く、フロントには、いつの時代のものか分からない鎧かぶとや刀が飾ってあり、なんだかそれだけでも少し背筋がゾッとしたのを覚えています。


複雑に いりくんだ長い渡り廊下を歩いている時には(ここは境界線が曖昧な場所だな…色んな意味で…)と感じていました。


一番奥の部屋まで案内されて、中に入ると、ついさっきまで人がいたかのような気配を感じました。

入ってすぐにトイレがあり、その先に階段三段分ほど上がった部屋があり、障子の扉を開けると三畳ほどの小さな部屋に炬燵が置いてありました。


帰り際に旅館の前で撮った写真を見ると半袖を着ているので、旅行に行ったのは夏のようなのですが、夜になると確かに肌寒く感じたのを覚えています。

それにしても夏にコタツのある部屋か~と驚いたのを覚えています。


私はいわゆる「視える」人間ではないのですが、その炬燵に小さなおじいさんとおばあさんが入って足を暖めているようなイメージが頭に浮かんだので、心のなかで(今夜一晩泊まらせていただきます。明日には出発します。一晩だけ、お世話になります)とご挨拶をしました。

母と兄には特に何も話しませんでした。


三段の階段を正面に見て、左側にトイレ、右側が広い和室になっていました。


お風呂に入り、おいしい料理をいただき、楽しくおしゃべりをし、入り口側から私、母、兄の順で川の字に布団を並べて眠りにつきました。


私は普段、旅先ではなかなか寝付かれず、うとうとしては目を覚まして朝を迎えるのが常でしたが、この旅館では今まで旅先では経験したことがないくらいぐっすり眠りました。


爽快な気分で目を覚まし、朝食に向かいましたが、なんとなく母と兄の様子がいつもと違い、口数も少なく、不思議に思っていました。


荷物をまとめ、旅館を後にして駐車場に向かい始めた時に母が突然

「あそこ絶対なんかいたよね!」

兄も

「絶対いた!なんかいた!」

と頷きました。


なんのことやらさっぱり分からなかったのですが、二人の話をまとめるとこうです。


普段は寝付きのいい母ですが、その晩はなかなか寝付けずにいたところ、三人の布団の周りをバタバタバタと走り回る子供のような存在を感じ、恐怖でますます眠れなくなった、と。

兄も兄で、長旅で疲れているはずなのに全く寝付けず、タバコを吸ったり水を飲んだりして、やっと布団に入ったところ、やはり私たち三人の周りをバタバタバタバタ走り回る何かに気付き、全然眠れなかった、と。


「あれなんだったの!?」

と二人で盛り上がっていたので、

「やっぱりなんかいたんだね…」

とつぶやいたところ、

「あなたも何か見たの?!」

と聞かれたので、部屋に入ったときに感じた小さいおじいさんとおばあさんのことを話しました。


「なんで言ってくれなかったの!」

「自分だけそうやって!」

と二人から責められましたが、だって大したことじゃないと思ってたんですもの。。


しかし、それから数年後、なんと母と兄が共同で買った宝くじが見事当選したのです。

私は離れて暮らしていたので、二人が宝くじを買っていたことも知りませんでした。


二人が感じた気配とは、もしかして座敷わらしだったのでは…。

だとすると、眠りこけてその気配を感じ取れなかった私は、もしかしたら一人余計なことをしていたのかもしれません…。

ご挨拶なんてしなければ、私も後々宝くじ当たっていたのかな~と、今でもたまに思います。

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