〈自分教〉わたしの宗旨は「自分教」４

自分教とラッキョウと鉄橋と

 
１　らっきょう
じぶんきょう―
らっきょう―
両方とも外見は一人前のようだが
かんじんかなめの芯が無い
 
それでも　らっきょうには素直さがある
甘酢や塩水に漬けられることをいやがらない
自我の一枚いち枚に愛の旨味をしみこませ
あたらしい自分に生まれ変わることを拒まない
 
そこへいくとどうだ　自分教の奴は！　
だれにも己を譲らない　新たな自分に再生することなどもってのほか
まして神などに洗脳されてたまるものか　そういう身構えだ
わたしが主(あるじ)と宣言し　虚勢を張って生きている　
  
２　鉄橋
じぶんきょう―
てっきょう―
両方ともシッカリモノに映るが
その実　いつも危ない河を渡っている
 
それでも　鉄橋はたのもしい
自分のからだを張って
明日へ架けるという尊い務めをまっとうしている
尊敬のまなざしで見上げられるのは当然だ
 
そこへいくとどうだ　自分教の奴は！
身を投げ出し　支えあおうという深い優しさなんてない
善人顔ですましているが　中身は不信と妬みと欲望とでドロドロ
己をもてあそぶことに夢中だが　神聖なものには怖くて近づけない

●読んでくださり、感謝します！