〈祈りのエッセイ〉「ほどかれていい」自分
転居をくり返してきたので「ほどく」事が苦手である。いつまた引っ越すかもしれぬので荷解きをしないのだ。だから、どこも「仮住まい」である。
人間関係も同様で、始終転校・転職をしてきたので、初めから深い関係づくりをしなかった。「いま・ここ」に身を置いて生き抜く、という根の下ろし方・張り方ができなくなってしまったのだ、いつのまにか。
だが、本当はほどきたいのだ、荷物でなく己自身を。そして「いま・ここ」で思い切り生活したいのだ、いきいきと。
すき間からそっとのぞくようなオドオド