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定期宗会報告/竹中了哲議員

宗派の方向性を決める「宗務の基本方針」と予算を議決する機関「定期宗会」の内容は、会議規則に「一般に公開する」と記されていますが、非常に閉じられた中で行われ、ネット配信もなく、昨年の宗会ですら未だに議事録が公開されていません。

一方で、各宗会議員は自教区へ報告書を出すのが常となっています。部分的な情報になりますが、大事なことが決められている現場の様子を少しでも共有するために、すでに報告書を出された富山教区の竹中議員の許可を頂き、「新しい領解文」に関する内容を抜粋してここに掲載します。報告書全文は、末尾のPDFファイルをご覧ください。

第323回定期宗会報告/竹中了哲議員(富山教区)

池田行信総長(70)が突如、辞任しました。表向きの理由は、予算、宗務の基本方針が可決、承認されてその職責を果たしたというものですが、実際には、新しい「領解文」を巡る宗門の混乱が原因です。池田総局は、各教区での新しい「領解文」の学習会を強行開催し、新しい「領解文」に対する不信、不満をさらに拡大させました。また、新しい「領解文」に反対し、その取り下げを要求している勧学・司教有志の会の代表である深川宣暢勧学ら勧学2人を監正局に申告するという暴挙に出て、新しい「領解文」を巡る混乱にさらに拍車をかける事態を招いています。

池田総長辞任、総局総辞職を受け、3月8日午後の本会議でご門主から総長候補者の指名を受けた池田前総長と前総局の筆頭総務だった荻野昭裕氏(68)との間で総長選挙が実施され、荻野氏が27票を獲得し、13票だった池田前総長を抑えて総長に当選しました。ただ、総長選挙では75人の宗会議員が投票しましたが、白票が34票、無効票1票と大量の"棄権票〟が出ました。池田、荻野の両氏は共に新しい「領解文」の唱和を推進しようとした前総局の中枢にいた人たちであり、どちらが総長に選ばれても、局面の大きな転換は期待できません。投票した半数近くの議員がご門主のご指名に失望した結果が白票、無効票の異常な多さに現れたと言わざるを得ません。荻野新総長は就任にあたり議場での挨拶で「議決された宗務の基本方針と予算を粛々と執行していく。ただ白票の意味は十分に承知しており、たくさんの意見を聞きながら宗務を執行していきたい」と述べましたが、新しい「領解文」を取り下げることはないとの意向を示しています。新しい「領解文」を巡る混乱はまだ当分は続きそうです。

通告質問

(顕心会から)新しい「領解文」を巡る宗門の混乱を取り上げたのは、渡邊、松原、梨本、那須野、清岡、下川、桑羽の各議員と竹中です。

渡邊議員は「新しい『領解文』が発布された後、その内容を巡り異論が続出するなどわが宗門は大変な混乱に陥りました。それは、これまで私たちが大切にしてきた他力のお救いが、覆い隠されるのではないかという不安から起こったものでした」と憂慮。

私(竹中議員)と桑羽議員の両名は、新しい「領解文」に異論を唱え、その取り下げを求めている勧学・司教有志の会代表の深川宣暢勧学など2人の勧学を総局が監正局に申告したことを「宗会議員(総局員も宗会議員)が学者を訴えることは、常識ではあり得ない暴挙」と批判しました。

松原議員は、新しい「領解文」についての消息の文案を作成したのは誰か、 新しい「領解文」という名称は誰が決めたのか、さらには今年の御正忌報恩講の改悔批判で新しい「領解文」を取り上げることを決めたのは誰か、と追及しました。

梨本議員は、総局が「ご門主のお心を体して」とご門主を盾に取るようにして、新しい「領解文」の教区学習会などを推し進めていることに対し、「門主制度解体を目論んでいるのか」と厳しく指弾しました。

那須野議員は、新しい「領解文」の教学上の疑義などを指摘した上で、池田総長に「今までの真宗教義が正しく相続され、混乱を招かないような賢明な判断」をするよう強く要望しました。

清岡議員は、得度式で新しい「領解文」が依用されるようになったことに関して、本願寺内局と宗派総局がそれぞれ「総局の指示」「内局の判断」と相手に責任をなすりつけるような説明をしていることを問題視し、「明らかに宗本区分の弊害が露呈している。真相はどうなのか」と総局の見解を質しました。

下川議員は、石上総長(当時)が淺田恵真勧学寮頭に、新しい「領解文」の内容に異論を唱え、その取り下げを求めている勧学・司教有志の会を指導するよう求めたことに対して、勧学・司教有志の会が主張する内容は「教義に違するとは言えない」と回答したことを踏まえて、「これは、新しい『領解文』の内容について教学上の疑義がある、と指摘されたことになる」とし、新しい「領解文」の唱和推進を中止するよう求めました。

予算審査会の審査概要(質疑の一部)

委員
総長の執務方針で、今後の新しい「領解文」について、拝読・唱和等については、各機関及び寺院の判断に委ねるとのことだったが、得度習礼・教師教修での依用については十分に検討してもらいたい。

委員
通告質問で、新しい「領解文」の一般社会に対する説明責任は、新しい「領解文」についての消息発布をご門主に申達した総局にあることが確認されたが、今後、総局は一般社会に対してどのように説明責任を果たしてゆくのか、その具体策を策定すべきである。

下川会長
新しい「領解文」についての消息発布以来、その内容と発布の経緯を巡り、 宗門は混乱に陥っており、宗会としても、この混乱の収束を図る責任があることから、総局として早急に混乱の原因を究明し、宗門正常化の方途をとることを強く要望する。

委員
中央仏教学院の2024(令和6)年度のカリキュラムには、新しい「領解文」に関する講義が予定されているのか。

総局(説明委員)
中央仏教学院は、僧侶養成機関であり、得度習礼でも唱和していることから、新しい「領解文」の講義を予定している。

委員
中央仏教学院には多くの寺院子弟が入学しているので、新しい「領解文」についての講義は行わないよう強く要望する。

その他、今年1月18日開催の富山教区学習会で議論となった「本来の領解文は準聖教にも当たらない」という総局見解について、私は「そのような見解を出すのは富山教区がはじめてであり、前日の滋賀教区では、そのような見解はなかった。1月17日の夜にそのようなことを決めたのか?」と質問をしましたが、見解は覆ることはありませんでした。しかし、今後この問題については宗会議員のみではなく、さまざまな分野から問題提起がされる状況
になっています。本願寺御藏判であることや17代門主・文如上人の「蓮如上人の真蹟」との言葉を否定することにもなるからです。また大谷派の見解とも真っ向から対立します。



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