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組織内の見えない悲痛

当会には、本願寺につとめる職員(宗務員)や宗門校の関係者などから時折り匿名のメールが届きます。中でも、宗務員からは職場の環境悪化に対する嘆きの声が絶えず、様々な問題のしわ寄せに苦しんでいる様子が伺えます。

昨年度の宗会では、松野尾議員がこのような通告質問をされています。

宗務所の労働環境悪化について/松野尾慈音議員

令和2年度から持続可能な組織として、5年間で90人の宗務所員削減は順調ですが、令和4年8月労働基準監督署の査察で、残業手当未払いの指摘があり、3千万円余の人件費を追加支出しましたが、その補正予算を議決した常務委員会では、査察の件は報告されませんでした。無理な人件費削減の結果、宗務の環境と質の低下を懸念します。この人件費削減優先の姿勢を改め、業務見直しや剰余金取り崩し等、育成、活用を優先した長期的な再建方策を策定すべきです。

A 令和4年度の労働基準監督署の指導を受け直ちに是正・改善し、現在も適切な労働管理運用に努め、適正に時間外手当を支給しています。なお、人員削減につきましては、具体策に基づき進めておりますが、現状予算規模の縮小の見通しが少し見えてまいりましたので、人員の削減については見直しも想定しています。

また、那須野議員はビハーラ問題を取り上げて宗門の運営体制を問うています。

宗門の活動は、経済・経営面が優先か
「金の切れ目が縁の切れ目」になっている/那須野淨英議員

宗門のビハーラ活動の拠点として、平成20年に開設されたビハーラ総合施設は経営困難に陥り、あそかビハーラ病院は、第三者に事業譲渡されました。これに象徴されるように宗門の多くの活動を見ていますと、当初の理念が理解されず、人材の育成も不十分なままで活動が継続されているように思われます。今一度、宗門の基本的な理念を最優先において法規、組織、特に常務委員会の在り方を見直すべきだと思います。

A ご指摘のように、ビハーラトータルプランのいずれの施設も専門的な知識や経験を有する人員配置、人材育成のないまま、安易な計画の中で進められ、設立母体である宗派においても、運営の実態を把握するに至らず、結果として多くのご懇念が費消されたことは事実です。この状況に鑑み、令和4年12月には、「宗派関係法人に対するコンプライアンス強化のためのガイドライン」を策定し、関係法人から財務資料や事業報告書、行政監査報告の提出など、総局への定期的な報告体制を確立するとともに、理事長権限の逸脱の有無や役員の責任体制が構築されているかどうか、また運営に対する監査体制など、宗派としてのガバナンス強化にも努めています。ビハーラトータルプラン検証委員会による令和6年度に提出予定の答申内容も踏まえ、総局として、ビハーラ活動の推進が施設運営の悪化と併記され、ビハーラ活動そのものが停滞しているとの誤解が生じぬよう対処していきます。

宗会だよりには再質問が掲載されていないため、さらに掘り下げた質疑はわかりませんが、職員方からのメールを見る限り、総局が回答するような状況には程遠いです。ビハーラの問題に関しても、「安易な計画」で「ご懇念が費消されたことは事実」と答弁しながら、その責任は誰も取りません。この対応は、「新しい領解文」に関しても同様です。

本願寺が世間一般の会社と大きく異なるところは、職員は各地のお寺出身者が多いため、職場で何か問題があった場合、故郷のお寺にも影響を与えかねません。また、退職しても本願寺とお寺は繋がっているので、辞めた後も、本願寺に対する苦言はしにくい環境です。実際、前勧学寮頭は退任後に内部情報を漏らしたことが要因になって、総局から監正局へ申告を受けています。結果、職場にどんな問題があったとしても、職員は声を上げられないのが実情です。職員のみならず、全国の寺院でも名前を出して指摘する人が限られているのは、個人だけの問題ではなく、本願寺とお寺が一心同体な部分があるからです。これまでのアンケート調査や署名活動でも、名前を出すことへの恐れを多数聞きました。

当会では「新しい領解文」を象徴的に問題視していますが、運営悪化に伴い改革を余儀なくされている本願寺では、賦課金改正の問題、北境内地の問題、ビハーラの問題など、数多くの問題があります。上辺の改革ではなく、組織の内部改革こそが必要だと思います。そのためには、やはり、声を上げ続けていくしかありません。

新しい領解文を考える会
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