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【中外日報記事】布教・伝道効果は否定的

中外日報社の許可を得て2023年6月9日号の記事を掲載します。

本願寺派「考える会」一般対象に調査

 浄土真宗本願寺派で発布された新しい「領解文」について、誰もが自由に話せる場をつくろうと「フェイスブック」上に開設された「新しい『領解文』を考える会」は5月中旬、新しい「領解文」が一般の人たちにどのように受け止められているかを調べるためにアンケートを実施した。分かりやすさの賛否は拮抗したが、布教・伝道効果については否定的な回答の割合が高く、同会は「現代に適応しているのか。見直すための一つの参考になるのでは」と分析している。
 アンケートは5月15日に「アイブリッジ」の提供するセルフ型アンケートツール「Rreeasy」を利用し、全国300人を対象に行った。一般の人たちを対象にした調査で、浄土真宗の門信徒が占める割合は約15%にとどまった。
 新しい「領解文」は発布時に「わかりやすい言葉で表現し、またこれを拝読、唱和することでご法義の肝要が正確に伝わるような」と掲げられており、アンケートではそれが実際にどう受け止められているのかを調査することを目的とした。
 「平易でわかりやすい言葉、表現が用いられていると感じるか」に対して「はい」が48.3%、「いいえ」は51.7%で拮抗した。「浄土真宗の教えの内容を明確に理解できるか」は「はい」が41.7%、「いいえ」が58.3%、「繰り返し拝読や唱和を促すことで浄土真宗は広まると思うか」は「はい」が33%、「いいえ」が67%だった。
 この結果について同会は「古典的な仏教文章に比べ現代語で説かれているため、半数程度が『わかりやすい』と評価している。しかし、教義理解や布教・伝道に資するかについては否定的な回答が多数を占め、さらに、新しい『領解文』が対象と想定している仏教にほとんど縁のなかった人は、約7割が否定的見解を示している」と総括した。
 同会運営メンバーは「単語は分かるが文脈が分からなかったり、仏教と関わりの少ない人ほど拝読・唱和という宗教的行為に抵抗感があったりするのではないか。お寺の中だけで議論するのではなく、実際にご縁のない人の意見も取り入れて検討すべきだったと思う」と述べ、「今回の結果は制定の主旨に沿っているのかを測る参考になると思う。今後、調査の対象を広げ質問を重ねていくことも検討したい」と語った。

(渡部梨里)

中外日報2023年6月9日号


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