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定期宗会報告/渡邊幸司議員

渡邊幸司議員(安芸教区)の宗会報告書から、許可をいただき通告質問を抜粋して掲載します。全文は末尾のPDFからご覧ください。


渡邉幸司通告質問

新しい「領解文」について

 新しい「領解文」が発布されて後、わが宗門は大変な混乱に陥りました。それは、これまで私たちが大切にしてきた他力のお救いが、覆い隠されるのではないかという不安からおこったものでした。これまではご消息が発布されたら、解説書の発行や学習会を開催するという手続きではなくて、各教区において布教使がそのお心をお話しするという場が持たれていたと記憶しております。なぜこの度はそのような流れを経ずに、今までとは違う、「解説」と「学習会開催」という方法をとったのでしょうか。この度のご消息が発布されるにあたり、その手続に問題があったのではないかという憶測から、さまざまな意見や声がインターネットを通じてあげられました。また教区においても、一般寺院のご住職や坊守さまから、いったいどうなっているのかという質問をたびたび受けたことでした。私の学びが浅いので理解できないのかと思い、たびたび新しい「領解文」を拝読しても納得できませんし、勧学寮から出されました解説を読んでも、ますます理解不能で、私の頭の中は混乱した状況となりました。ご消息発布の後、令和5年2月3日に本願寺で行われました法義示談において、相馬一意和上が新しい「領解「文」についてお話しになられ「残念ながらご消息として示されるこの『新しい「領解文」』は、少し誤解される恐れがある。ひょっとしたら大きく誤解されると宗意安心に反する異安心の恐れがあると返答した」ということをお聞きして、ますます不信感がつのりました。その後、築地本願寺の法義示談においても、多くの教学的問題点を指摘なさっています。企画諮問会議や宗門総合振興計画会議の全体会でたびたび質問をさせていただきましたが、明確なお答えはなく、「手続きに瑕疵はない」というお返事をいただくことしかありませんでした。たとえ、手続きに問題がなかったとしても、実際には発布されたご消息『新しい「領解文」』は、理解が困難な内容であるように思います。
 各教区の学習会にご出席になられた方々のお声をお聞かせいただきましたが、「『新しい「領解文」』がよく解る」「素晴らしい内容だ」と仰る方はおられませんでした。そこで、本当に手続き上に瑕疵はなく、勧学寮の同意が得られたものであるのなら、勧学寮の和上さまに発布にいたる経緯のご説明と、ご消息の内容を理解するためにも、解説についてより詳しくご説明いただきたいと思います。たとえば司教論文などの論文諮問は1年から1年半かかるそうですが、新しい「領解文」をご消息として発布されるのに、寮員会議にどれだけの時間をかけられたのでしょうか。ご消息の文面を精査されるのに、どれだけの時間をかけられ、何回の寮員会議を経て、同意されたのでしょうか。まず、寮員会議の日程と、その内容についてどうのような諮問をなさったのかお尋ねいたします。そこで、勧学寮の和上さまに、宗会の議場で説明の責任を果たしていただきたいと思います。勧学寮が、なぜ新しい「領解文」発布に同意なさったのか。新しい「領解文」発布にいたる手続きを、どのようになさったのかというその顛末と、新しい「領解文」の解説をより解りやすく詳細にお話しいただきますよう要請させていただく次第です。
 また、新しい「領解文」が発布されて後、宗門は大変な混乱に陥りました。新しい「領解文」を推奨する総局や勧学寮と、それに反対をする勧学・司教有志の会、新しい「領解文」を考える会などの対立構造ができてしまいました。そこには、さまざまな意見をまとめていく、話し合いの場が必要だったのではないでしょうか。今の宗門は実際に問題がおこっても、きちんと問題究明することができず、馴れ合いですませてしまっているきらいがあります。これでは問題の先送りになり、いつまでも混乱が収まりません。なぜきちんとした話し合いの場を設定することができなかったのか、それをどのようにお考えかお聞かせください。
 またこの度の混乱のもとには、教学理解の問題があったのではないかと思います。浄土真宗本願寺派や本山本願寺の役職者、宗会議員や各委員には、教学の研修をしっかり受ける必要があるのではないでしょうか。ありがたいことに、わが宗門には立派な和上さまがおられますので、定期的にカリキュラムを組んでお聞かせいただいてはどうでしょうか。そのあたりのことはいかがお考えかお聞かせください。

□総局(総務)
 「話し合いの場を持つべきだったのでは」とのご指摘があるが、勧学寮へは学習会において説明いただきたいとお願いをしてきた。残念ながら出向いただくことはかなわなかったが、勧学寮の現状認識についてはうかがっている。
 勧学寮からは昨年12月、現在の宗門内の新しい「領解文」に対する反応は、解説文作成時には想定していなかった。教学的見解の相違が主張されたりしているが、これらの批判に対して
「勧学寮としてもいかに対応するかを急がなければならないと考えております」との見解をいただいている。総局としては、このご意見を尊重し、ぜひとも教導して参りたいと考えている。

再質問①

 令和5年の御正忌報恩講におきまして、新しい「領解文」が発布されて後、宗門の混乱は収まるどころか、学習会が開催されるごとに不信感は深まっていく状況にあります。ご消息発布にあたり、新しい「領解文」についての諮問が勧学寮においてきちんとなされたのか疑問に思い、勧学寮員の相馬一意和上にそのことをお聞かせいただくために、3つの質問のお手紙をお出しいたしました。
1.新しい「領解文」を勧学寮がお認めになった理由
2.勧学寮が新しい「領解文」を了とされた時の経緯
3.新しい「領解文」の教学的な問題について
この3つの質問についてのお答えとして、後日、相馬和上からお返事のお手紙をいただきましたので代読をさせていただきます。

 相馬和上のお手紙をお読みする限り、どのように考えてもご消息、新しい「領解文」発布には問題があったと言わざるを得ません。各地の僧侶が問題としているのは、この新しい「領解文」を勧学寮の和上方が本当に認めておられるのかということです。新しい「領解文」を発布した責任は前総局にあります。このご消息、新しい「領解文」発布によって起こった混乱を収束させるため、新しい「領解文」の解説が出されましたが、私たちが理解するに至っておりません。総局は、総局の責任において、今一度、教学的問題について勧学寮から説明を要求されるよう再検討をしていただきたいと思います。宗法第59条第4項に「宗務機関の要求に対して回答すること」とありますので、宗務機関である総局が勧学寮に対して寮員からの説明の要求をしていただきますよう要請いたしますが、現総局はそのような手立てをとられることをお考えでしょうか、お答えください。

□総局(総務)
 手続き上の問題については、いま混乱しているのは憶測で語られてることが多いかと思う。いま相馬勧学のお手紙を朗読されたが、それは相馬勧学のご意見であって、事実確認をまずした上で、この件については考えていかなればいけないと思う。
 それから教学理解の問題について、これはいわゆる不信感の問題があるのではないかと思う。勧学寮の見解に対して、「勧学・司教有志の会」の方々が異論を出されているということ、教学的な見解の相違というものがあることに対して、そのようなものを申達した責任があるのではないかというひとつの不信感であろうとかと思う。その件については、先ほど総務も答弁したように、12月にいただいた勧学寮の見解の中でこのように述べられている。
 「現代の宗門内の『新しい「領解文」』に対する反応は解説文を作成時には想定していなかった批判がなされたり、教学的見解の相違が主張されたりしています。これらの批判に対して勧学寮としてもいかに対応するかを急がなければならないと考えております」と、このように仰っておられる。ですからこの件については、ぜひ早めに教学的な見解の相違について、勧学寮としての見解を要望しているが、またあらためてこの要望をしたいと思っている。

再質問②

 新しい「領解文」発布によって、宗門が混乱を極めたということは、事実としてあることですから、このような問題がなぜ生じたのかを公平に調査する機関を設け、新しい「領解文」発布にあたり勧学寮の同意がどのような経緯を経て意思決定されたものであるのか、勧学寮の議事録やさまざまな資料によって、調査をしていただきたいと思いますが、そのような調査検討委員会を設けるなどの手立てを講じるお考えはあるでしょうか、お答えください。

□総局(総務)
 相馬勧学のご意見等については、事実確認をしなければいけないので、勧学寮と相談して進めていく。

再再質問

 どの教区の学習会においても「私の煩悩と仏のさとりは本来ひとつゆえ」が理解できないと質疑にあがっていました。
 学習会において、満井研究所所長は、『正信偈』の「証知生死即涅槃」を出拠としておられます。そして、新しい「領解文」を「仏知見から仏徳讃嘆としての領解文だ」と言われます。
 勧学寮の解説にはそのようなことは書かれておりませんが、勧学寮はこれを認めておられるのでしょうか。そのことがはっきりしないと、いつまでも教義上の混乱が収束することはないと思います。そのあたりのことも含めて、勧学寮に説明を求めます。
①『正信偈』の文をもって説明しているが解説文にはない。②仏知見による内容を我々の領解としてよいのか。研究所所長の説明を聞いて、僧侶や門徒は混乱しております。
 解説文にはない、満井所長が説明される、そんな領解を勧学寮は認めるのかどうかハッキリしてもらわないと、この混乱はおさまらないのではないかと考えます。
 宗法第59条にある、勧学寮の職務として「宗務機関の要求に対し回答すること」とあり、宗務機関に対して回答する義務があると考えます。
 新しい「領解文」は今までご縁のなかった初見の方々にというお考えもあったと思います。勧学寮の解説や研究所の解説を読んでも理解が難しいので、もう一度、勧学寮から易しく解説をしていただきたいと思います。総局が勧学寮からの説明要求をしないということであれば、宗務機関である宗会にそれを求めます。ですから宗会運営員会から勧学寮に対して、ご消息新しい「領解文」の内容について、勧学寮から説明を要求をしていただくように要請いたしますが、いかがお考えでしょうか。お答えください。

□満井所長
 私の学習会の解説の内容が、勧学寮の解説文と違っているのではないかというご意見については、私は勧学寮頭には「解説文と齟齬はいたしておりませんでしょうか」と確認したところ、「それは齟齬はない」ということであった。たしかに相馬和上との意見的な相違はあるが、私の学習会の解説の内容は勧学寮の解説文に矛盾するものではないとの寮頭見解をいただいている。

渡邉幸司より相馬一意和上への質問状

令和6年2月11日

相馬一意 和上 樣
安芸教区宗会議員 渡邊幸司
拝啓
 慈光照護のもと、相馬一意和上様に於かれましては、ご健勝にて二利御双行のこととお慶び申しあげます。
 突然、相馬一意和上様にこのようにお手紙を差しあげますのは、新しい領解文(浄土真宗のみ教え)についてご確認させていただきたいことがあり、誠に失礼とは存じますが直接お手紙をお送りさせていただく次第です。
 和上様もご存知の通り、令和5年の御正忌報恩講に於きまして、新しい領解文が発布されて後、わが宗門は一年以上にわたって大変な混乱が続いております。多くの僧侶とご門徒から、この「新しい領解文」を理解することができないし、唱和を奨められても納得することができない等、何とかしてほしいという多くのお声をお聞きかせいただいております。この混乱を収束させたいという思いから、和上様にご相談させていただこうと思った次第です。ここに、相馬和上様にご確認させていただきたいことがあります。
①「新しい領解文」を勧学寮がお認めになった理由
②  勧学寮が「新しい領解文」を了とされた時の経緯
③「新しい領解文」の教学的な問題について上記の通り3つです。新しい領解文発布にいたるまでの議事録を閲覧したい旨、総局に申しましても、手続上瑕疵はないというお返事があるだけで、具体的な事実を確認できる書類が提示されることはありませんでした。新しい領解文発布にかかわることの顛末をできるだけ簡潔にご説明いただきたく存じます。こちらの勝手な言い分で申し訳ないことですが、相馬和上様には恐れ入りますが、3つの質問についてお返事くださいますよう、宜しくお願い申しあげます。

称名
(送った手紙の原稿のまま掲載)

宗門を考える会(渡邊幸司議員)
https://www.facebook.com/shumon.kangaeru


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