赤い糸はスパイシーな香り 第15話
病院に搬送されてから二週間、雅也はICUで過ごした。その間にも私にはやらなければいけないことがたくさんあり、これまでのように悲しんでばかりいることはなくなった。
私の職場はもちろん、雅也の職場とも今後のことについて話し合う時間が増えた。それに加えて、警察や保険会社との話もあった。一番大変なのは家のこと。これまでのようにマンションというわけにはいかない。エレベーターもなければ、エントランスにスロープもない。車椅子での生活となると、それまでは気付かなかったものが障害物となって