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黒人差別を日本人がどう感じるのか

差別についての考え

この記事は右寄りとか左寄りとかそういう事をいう場ではなく、差別について良いのか悪いのかということでもありません。アメリカで頻繁に起こっている事実を見て感じること、それに伴って起こる自分の意識の再認識と変化です。

メディアは偏向報道や切り取り報道がほとんどで、正しく見せるという事よりも「いかにドラマティックで刺激的に見せるか」と言う事を追求します。

そして、見る側はそれをさらに期待するために偏向報道が加速していきます。新聞、テレビなどのメディアは保守から革新までいくつかあります。かと言って中立、中庸が良いとも限りません。

SNSではInstagramなんかも良い例で、写真をいかに綺麗に写すか、そしてフィルターをかけて感動的に撮るか。しかしそのフレーム外は散らかった部屋である事。

Facebookだってそうです。「差別」などのキーワードなどが一種の「偏ったアルゴリズム」によって淘汰されてしまいます。

世の中のメディアやSNSは殆どが偏向、切り取られたものだという認識がないと、自分の中にあるものはすべてフィルターされたものだけの「完璧主義」になり、同時に自分の考えを失います。

僕はそうはなりたくないです。しかし普段の情報収集、情報発信はSNSに頼らざるを得ません。インターネット以外の玉石混淆の情報を色々なところからインプットしたり、文献を読んだり歴史なども調べて勉強するということである程度の取捨選択ができるようになります。

情報過多の世界で正しいものは一つとも限らないし、正解がない場合もあるため最後は自分で判断するしかないです。

コロナの時もそうですが、様々な人の意見があって当然だし、どれが正しくてどれが間違っていると他人に押し付けるのは単なるエゴから来るものだと思います。

じゃあ中立を守れば良いのかというとそうではないと思います。中立というのは一見平和主義的ですが、考えるのがめんどくさいから中立と言う事が多いと思います。選挙に行かないのと同じです。

自分で考えて、感じて、それぞれの意見を持たないとこの情報過多の世の中では渦に巻き込まれて一緒くたになってしまいます。

黒人の音楽を日本人が演奏するということ

僕は少なくとも、彼らの音楽を自分の生業としているからには黒人へのリスペクトはあって然るべきだと思うし、過去にどう言う経緯がありジャズが生まれたのかという事を理解しなければならないと思います。

Bluesがどのようなものなのか、楽しく演奏できればそれで良いのでしょうか?日本では「表面の格好良さ」だけが一人歩きし、内面を理解しようとする人が少ないように思います。

奴隷に端を発する黒人差別の歴史ですが、僕は日本のいじめ問題にも似た感覚があると感じます。

こう言う考え方には批判があるかもしれませんが、「周りと違う」と言うことに対してそれを抑圧しようとする力が働きます。しかしこれは憧れの裏返しでもあると思います。

「自分達にないものに憧れる」
という事です。

僕がジャズをやるのは「黒人の作り出すサウンドに憧れる」からです。そこに差別的な意味はないとは思いますが、日本人とは違う音楽感という区別はしていると思います。

白人と黒人の関係

ジャズ史の中では幾度となく白人と黒人の近接願望が読み取れます。

白人が黒人の真似をして面白おかしく表現したミンストレルショー、スウィング全盛時代のサウンドを支えたのは黒人のアレンジャー。

レスターヤングは白人的なソフトなサウンドを目指したし、50年台以降の白人のサックス奏者は黒人であるレスターヤングの影響を受けています。

キング牧師はソフト路線でしたが、マルコムXは非白人のイスラムとつながり過激な思想になりました。しかし黒人の縮れた髪の毛を強いアルカリ液で縮毛矯正し、白人の様な髪の毛をしていた時期もあります。

どこかで嫌っていながらもある種の憧れを抱くと言うのは、「自分に無いもの」を欲するからでは無いでしょうか?

ジャズが生まれた要因はヨーロッパの白人たちがアフリカ大陸に住んでいる黒人たちを奴隷としてアメリカに連れてきたからですが、もしその事実がなければ今の音楽は全く別なものになっていたはずです。

マイルスデイビスも
アートブレイキーも
チャーリーパーカーも
スティービーワンダーも
マイケルジャクソンも

こんなに素晴らしいミュージシャンが生み出す音楽は存在しなかったことになります。

奴隷制度があった事実を考える

奴隷制度が良かったとか悪かったとかではなく「奴隷制度があった事実」をきちんと理解して、その上に我々が聞いている、演奏している音楽は成り立っていると言うことです。この事実を軽んじてはならないのではないでしょうか?

「黒人差別そのものについて考える」ということは日本人である我々では深い理解ができません。仮にできたとしても当事者ではないので、本質的な解決にはなりません。

したがって、第三者である我々は「奴隷制度があった事実」を考えることの方が意味があるのではないかと考えます。以前Black Lives MatterでApple Musicが停止した理由はそう言うこともあると思います。

アメリカのジャズやポップスだけではないです。現代の日本のポップスはアメリカの音楽があったからこそ生まれたものです。

人種差別反対!と言うだけでは何の意味もないと思います。

この事実を深く考えて深く知る時間を作ってみてはいかがでしょうか?

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