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インタビュアーにとってのコミュニケーション力の磨き方

インタビュー

相手から話を引き出したり、相手の考えを文章にしてまとめる仕事をしています。いわゆるインタビューという仕事です。これがとてもおもしろい。もし一生働く必要がないほどのお金を手に入れたとしても、この仕事は続けていくと思います。

優れたインタビューというのは、インタビュアーや記事の読者だけでなく、インタビュイーにとっても新しい発見があるものだと思っています。そうなると大切なのは、相手の考えを深いところで理解すること。そして、そこへ意外な「問い」を持ってくること。

その「問い」を前にした時に、相手が考えはじめたらうまく展開していきます。相手の言葉に対して、自分なりに言い換えてみたり、不明瞭なところについて新たに問いを重ねたり、微調整していきます。相手の思考を頼りに、一緒に言葉を探していく作業に入ります。これはとても楽しい。

インタビューを終えると、あとは僕の考えを盛り込みながら文章を整えていく。すると、インタビュアーにとっても、インタビュイーにとっても新しい考えが生まれた記事になります。


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ありがたいことに、頭のいい人と出会う機会が増えました。そういう人の話を聴いていると、とてもエキサイティングなのですが、時に思考のペースについていけないこともあります。先ほども言いましたが、大切なことは相手の考えを深いところで理解することです。一問一答のような形式では、新たな「答え」を探す共同作業には入ることができません。

そこで重要になるのは、コミュニケーション力ではないでしょうか。その場に人対人の関係性を築き上げることができれば、僕の拙さゆえの「わからないこと」にさえ価値が生まれる。

そう言いながらも僕はその点が未熟です。緊張感や警戒心をほどくことができれば(お互いの)、もっともっと素敵な言葉を引き出すことができるのに。そこで、上記のような質問を投げかけました。すると、たくさんの人が答えてくれました。



最初に自分の力を伝えておく。確かに、相手への敬意があるからこその行為ですよね。同時に、相手にも調整してもらうことで成立させる。自分だけで解決しようとするのは、コミュニケーションが希薄化してしまう。


わからないことは「わからない」としっかり伝える。「わかったフリ」によって泥沼化していく前に、要所要所で確認することは大事ですね。頭の良い人はわかりやすく説明できる表現力もあるので、その力を頼る。


相手の印象を先に伝えることで場をほぐしていく。対話の導入部をなめらかにする工夫はいろいろとできそうですね。


リアクションや感謝の意を伝える。まさにコミュニケーション。確かにこちらのリアクションによって、相手の熱も変わってきます。「ついつい話してしまう」というのは、魅力的な相槌だったりします。


一緒にお酒を飲んだり、食事をすることで、緊張をほどく。なるほど。同じ体験をしていると仲間という意識が芽生えるのかもしれません。「時間と場所を変える」というのもおもしろいですね。


バカにされたり、怒られたりしても無闇に傷つかない。確かに、そういうケースを頭に入れておくことも、自分をコントロールするためには必要かもしれません。


雑談力。簡単に書いてありますが、とても難しい。相手が褒められている特徴に触れないこと(この話だけで一本記事が書けそうですよね)。訓練すればかなり鍛えられそうです。


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まとめ

・相手への敬意を伝え、自分のことも伝える
・自分ひとりで解決せずに、相手にも頼る
・わからない時は「わからない」と伝える
・リアクションや感謝の言葉は大切
・食事など、同じ体験を通してコミュニケーションを
・最悪の状況も頭に入れておく
・雑談で関係性を構築していく


いろんな声を聴く上で気付いたこととして。最も重要なことは、独りよがりにならないことかもしれません。当たり前の話ですが、コミュニケーションは相手ありきで成立します。自分の理解力を常に提示しながら、時に相手に頼りつつ、進めていく。それをなめらかに展開させていくためには、人間性や品性、美意識などいろいろな要素が関係してくるのだと思います。

それができるようになると、次の課題として新しい(意外な)「問い」を置くことが求められます。相手に「おもしろい」と思ってもらうためには、その力が必要です。そこでようやく、実際的な共同作業に入っていくことができます。

ただ、「コミュニケーション」と「問い」は常に螺旋構造として求められる力だと思っています。つまり、コミュニケーションによって関係性をつくることができていなければ「問い」は機能しない。共同作業によって、新たな「答え」を導き出した後、次なるより良い「問い」を立てるためには、さらに上質なコミュニケーションが求められます。相手の深いところで共鳴していなければ、魅力的な「問い」を立てることはできません。

「コミュニケーション力」を磨くと、「問い」を用意する力が求められる。さらに良き「問い」を用意するためには、もう一段上の「コミュニケーション力」が求められる。つまり、「コミュニケーション」と「問い」は螺旋状に磨いていく必要があるのです。

あくまでこれはインタビュアーとしての僕の場合です。ある種のスペシャリストにとっては、そのような力は不要に違いありません。むしろ専門的な領域を深く掘り下げていくことが何よりも求められる力であったりします。


質問に答えていただいたみなさん、どうもありがとうございました。一つひとつ実践していきます。




「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。