![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17997430/rectangle_large_type_2_c0ced06e8fe6b3454df1ce14cfb2884b.jpeg?width=800)
「読むこと」は教養のエチュードvol.11
2020年を迎え、僕からプレゼント。全ての作品を紹介させていただきます。結果発表はその後。みなさんが送ってくれた僕宛の手紙にお返事を。「わたし」と「あなた」がつながる。それはコンテスト開催の応募要項に書いたことの証明。
このコンテストにおいて、僕は「最良の書き手」でありながら、「最良の読み手」であることに努めます。
それでは、『「読むこと」は教養のエチュード』のvol.11です。
***
71.限りなく蒼くて世界で一番速かった夏
池松さんの「本気」は胸に来る。これは〝アイツ〟への手紙。だけど、記憶が、感情が、言葉に重ね合わせながら、読み手へ熱を届ける。その瞬間、「繋がった」と読み手は感じる。うん、だからカッコイイんだ。#教養のエチュード賞@jun_ikematsuhttps://t.co/cUeGBiw7mA
— 嶋津 亮太|Ryota Shimadu (@RyotaShimadu) January 14, 2020
池松潤さんの作品。盟友への言葉。文章を読み進めていくごとに身体が火照っていく。燃え盛る炎ではなく、静かに熱を帯びた炭火のような言葉たち。そこには無駄がなく、凝縮された想いの影が一行の中に宿る。
日照りの中で蘇る、肌を包む風、その匂い、胸騒ぎ、焦燥、涙の味。文章が記憶の扉を開き、次々と五感が想起する。読み手はそれを共有し、また、想像する。
池松さんの「本気」は胸の内側をえぐる。決して語り過ぎない。言葉の向こう側にあるものを信頼している。それは、読み手の「想像力」よりも、「想い(心)」に宿る熱。目に見えないもの。読み手の意識を余白へ飛ばす力。
それはね、本当にそうなんだ。僕にはわかる。サーキットで感じる「風」を言葉で表現しても、本物の「風」を体験したことにはならない。そのためには「風」を形容する以上の「何か」が必要なことを暗に指し示している。
72.白い京都
急展開にびっくり!優まさるさんの引き出しの多さに驚く。今回も違った表情の作品を見せてくれた。京都の色合いのコントラストの丁寧さが緊張感を与え、後半をさらに引き立たせる。幅広い作風に感動。#教養のエチュード賞@hkr123sphttps://t.co/0AtH9WjHnh
— 嶋津 亮太|Ryota Shimadu (@RyotaShimadu) January 14, 2020
優まさるさんの作品。風情ある会話とその描写。から一転、まさかの展開に。その情緒豊かな京都の描写が、ある種の緊張感を与える。展開のある作品はなかなか感想を書けない(ネタバレしてしまう)。
今まで優まさるさんの文章をいくつか読ませてもらったけれど、全て印象が違う。その度に、引き出しの多さに驚かされる。今回もまた違ったテイスト。
幅広い作風と高い構成力。今後、優まさるさんの文章を読む度に期待してしまうだろうなぁ。「この後、何か起こるかもしれない」って。それも楽しみの一つ。
73.『ゴーストライター』
良きショートショート。読後感がほっこりする。亡くなった姉が出てきて、「俺」に生前好だった人に向けた手紙を書かせる。最後まで楽しく読ませていただきました。#教養のエチュード賞https://t.co/e2EzXQJjPQ
— 嶋津 亮太|Ryota Shimadu (@RyotaShimadu) January 14, 2020
亀山真一さんの作品。読後感がほっこりする。タイトルと結びが素敵で、それは落語やショートショートのようなカラッとした心地良さがある。実際に亀山さんは落語が好きなのかなぁ?
きっと設定を見つけるのがうまいんだと思う。目の前のモノに対する切り口や、その描写ではなく、魅力的な設定を考案して、登場人物に自由に発言や行動をさせる。それらを言葉で繋いで、整える力が優れている。
こういう人は、どんどん小説や戯曲といった「物語」をつくることができる。あたたかなユーモアが素敵。
74.信頼できる人を作ろう
まさしくその通りだと思う。評価経済は既にはじまっている。人類は「人としての魅力」をしっかりと洞察するフェーズに入った。いい人が増えれば、いい社会になる。「人に親切にすること」や「助け合うこと」は、利己的な発想抜きにしてすばらしいことだ。#教養のエチュード賞https://t.co/b2mTREFJr0
— 嶋津 亮太|Ryota Shimadu (@RyotaShimadu) January 14, 2020
Linusさんの作品。教養のエチュード賞応募作品ということを忘れて、興味深く読ませていただいた。関心のあるテーマでもある。
まさしくLinusさんの仰る通りだ。評価経済は既にスタートをきっている。人類は「人としての魅力」を洞察するフェーズに入った。そう考えると、「求められる力」というのは、その時代時代で変わっていくものなのだということがよくわかる。
その人のタイプ(性質)というのは、時代性によって優劣が変わる。今後、「求められる力」はますます速度を上げて変化していくだろう。そうなった時、時代に順応する力と、時代を予測する力がより重要になるだろう。変化は避けられない。
75.山のあなたの空遠く 「幸」住むとひとのいふ
安野さんの文体に山の息遣いを感じる。これはとても不思議な体験で、言葉の選び方か、そこに生まれるリズムか。山の息吹による無数の命がそこかしこに宿る。文章は、その人の原風景と密接な関係があるのかもしれない。畏れに似た感覚を味わう。#教養のエチュード賞@nienoeddahttps://t.co/zyWOziMrGQ
— 嶋津 亮太|Ryota Shimadu (@RyotaShimadu) January 5, 2020
安野ニツカさんの作品。タイトルはカール・ブッセですよね。幼き日の記憶。山から想起する光景。安野さんの文体に山の息遣いを感じる。これはとても不思議な体験で、言葉の選び方か、そこに生まれるリズムなのか。山の息吹による無数の命がそこかしこに宿る。それは畏れに似た感覚。
それは羨望の眼差し。原風景が文体に宿るというのはオリジナリティに厚みを与える。その細部に渡る躍動は、意図的に現れるものではない。安野さんの文章を通して、自分自身の独自性とは何かを考えた。それは影響を受けた文学作品ではなく、日々の暮らしの中で毛穴から吸収された「生きる」匂いなのだ。言語を超えた、細胞レベルのもの。良い体験をいただいた。
76.家族を"選択する"ということ
パートナーとの出会いもペットとの出会いも縁によるもの。その不思議が人生を前に進めていく。そこに必然を感じることができれば、これほど素敵なことはない。#教養のエチュード賞
— 嶋津 亮太|Ryota Shimadu (@RyotaShimadu) January 9, 2020
家族を"選択する"ということ|Yurino O. / ヨーロッパ情景 #note https://t.co/AmCfcI87HU
Yurino O.さんの作品。自分の意志とは関係のない出会いって尊い。例えば、有名人に「会いたい」と思って会いにいく人というのは、自分の意志と関りがある。それはとてもすばらしいこと。でも、環境や偶然によって巡る縁というのはまた違った趣がある。
Yurino O. さんの文章を読んで、目の前にある奇跡のような出会いを大切にしたいと思った。それは人であれ、動物であれ。そこに必然性を感じることができれば、これほど素敵なことはない。「出会い」に物語を与えることは、人間にのみ許された力なのだ。
77.姉ちゃんにありがとうを込めて
ああ、ダメだ。泣いた。気の利いた言葉、美しいコメントなんて思いつかない。それに、この作品は、僕の言葉なんて必要としていない。#教養のエチュード賞https://t.co/MHlAHJk5rw
— 嶋津 亮太|Ryota Shimadu (@RyotaShimadu) January 15, 2020
ほっころーむカフェさんの作品。もう、これはTwitterでのコメント通り。涙が止まらなかった。気の利いた言葉、美しいコメントなんて思いつかない。それに、この作品は、僕の言葉なんて必要としていない。ただ、読んでみてほしい。
「死」を受け入れた人の言葉には、人智を超えた力が宿る。数年前、僕の義母を同じ病で亡くした。毎日、妻と病院へ通った。その時のことを思い出した。生前、義母と病室で二人きりになったことがある。その時、僕に残した言葉には、計り知れない力が宿っていた。具体的には書かないが、あれは全てを受け入れ、あらゆる想いを込めた願いだったのだろう。僕は一生忘れない。
この作品を読むことができてよかった。この大切なお話を応募作品として届けてくださり、ありがとうございます。
***
vol.12へと続く
▼「読むこと」は教養のエチュードvol.10▼
教養のエチュード賞に参加してくださったみなさまへ、僕からお願いが一つだけあります。どうぞよろしくお願いします。
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。