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記録と手紙の間で

タイムラインに流れてくるnoteを読んでいると、たまに「こんな風に生きるのいいな」と思う人がいる。

仕事のことにはあまり触れず、趣味や生活のことをてきぱきと書いていて、そこにその人の思想が見える。概念的ではなく、あくまで好きなことをまじめに書いていて、選ばれたことばも小気味いい。写真も「とりあえずシャッター」という感じで清々しい。

その“記録”と“手紙”の間のような文章が好きだ。読んでいると、一人暮らしの部屋におじゃましているような感覚になる。きちんと片付けられていて、観葉植物の緑が濃く、風通しがいい。ディフューザーからウッディな香りが醸され、意識がクリアになる。それも「おもてなししよう」というのではなく、「自分が好きだからやっている」というスタンス。もちろん比喩。

誰に訴えかけるわけでもなく、呼びかけるわけでもなく、共感を望むわけでもなく、褒められたいわけでもなく、伝えたいわけでもなく。「いい文章だな」って思う。

その人の部屋、あるいは、手入れした庭のような空間がここにはあって。そこに役立つ情報やエンターテインメントはないけれど、その人の生活があり、息づかいがある。たまに、ふと覗いてみる。

本当はここで、その人のnoteを紹介したらいいのだと思うのだけど。でも、そんなことしなくてもこのプラットフォームには、そういう生活の匂いや仕草を感じられる文章がたくさんある。真夜中の飛行船、窓の外には街の灯りがぽつぽつと。わたしたちは、彼らの営みを想像しながら、スプーンひと匙分の文章を味わう。これが密かな楽しみなのだ。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。