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とある雨の日の事例

外は雨。

ぽつりぽつり、窓を叩く雫。くぐもった音、五月雨式に鳴る鍵盤に似て。現代音楽、フィボナッチ数列、二重螺旋構造。気まぐれの背景に描かれた美しい数式。

茶葉を焙じる。甘く芳ばしい香りが部屋を満たす。ケトルの湯がくつくつと静かな音を立てる。鍋にふわりと浮いた茶葉、南部鉄器、湯呑、雨の音。

誰とも会わない、誰とも会えない。

ひとり、贅沢な時間。フェリーニの『甘い生活』を無音で流しながら。タップするiPhone。今日は誰が、何を書いているのだろう。

誰とでも会える、いつだって会える。

焙じ茶をすすりながら、「あの人」の書いた物語へ会いに行く。やわらかく、深みのある、豊かな香り。これが私の、雨の日の楽しみ方。

雨に包まれた私の部屋と世界は、noteでつながっている。


#noteな生活



noteな生活

noteのある生活を短いストーリーで形にしていく。物語でnoteを広める実験的なプロジェクトです。




「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。