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ボンヌ・ソワレ~真夜中の哲学講義~

Le Poète

ロダンの『考える人』(Le Penseur)をご存知でしょうか。肘をつき、眉をひそめながら手の甲に顎を乗せているあの有名な像です。思索に耽るあの表情と名前は哲学者そのものです。実は『考える人』という名は、ロダンの死後に鋳造職人のリュディエが付けたと言われています。あの像の当初の名は『詩人』(Le Poète)でした。

このことを知った時、ぼくの身体に電気が流れました。

ぼくの夢は「詩人になること」です。ことばで世界をつくる人。同時に、哲学者にも憧れを抱いていました。両者の共通点は「何をしている人なのかよくわからない」。その佇まいに惹かれ、「ただ生きている」という潔さにこころ揺さぶられる。どう考えても変です。社会的に信用できないと同時に、人間として信用できる。

「似ている」と思っていたその二つが、同じ存在なのかもしれないと思ったきっかけがロダンの『考える人』です。そして、生きている限り、人は誰しも哲学者であり、詩人なのである。そのような考えに至りました。

ぼくは、哲学者として、詩人として、ダイアログ(対話)をデザインしている。「ダイアログ・デザイナー」という命題で、いかに生きるか。その根幹には「ことばで世界をつくる」があります。

ボンヌ・ソワレ
〈良き夜を〉

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オンラインCafeBarDonnaで「真夜中の哲学講義」をはじめました。詩を書く哲学者のタカーシーさんに哲学についての話を伺います。ぼくはそこに問いを置いていく。最初は二人きりの対話からはじまりました。

これがすごく楽しかった。その日は「これからも継続してやりたいですね」という話で終わりました。そして、クリスマス・イヴ、第二夜が開かれました。「イヴに哲学の話なんてロマンティックですね」と笑いながら。アメリカはソルトレイクシティからたなかともこさんがバーの扉を開きました(イギリスからは観世バタコさんも)。ここで生まれた対話がとにかくおもしろかった。

「真夜中の哲学講義」のプレオープンの気持ちではじめましたが、それはもう十分なほどの手応えでした。沈黙さえも愛おしい。ライフスタイルにこのような時間が存在することは、こよなく豊かです。

勝手ではありますが、タカーシーさんとたなかともこさんの「真夜中の哲学講義」を〈ボンヌ・ソワレ〉と名付けました。「良き夜を!」というフランス語です。だって、あの夜が、本当に良い夜だったから。

タカーシーさんの哲学の見識と、ともこさんの医学の見識を重ね合わせ、対話を通して「日常」に落とし込む。専門分野に関する視点はもちろんですが、もちろんお二人の人間性があってこその為せる空間だと思うのです。ぼくはそこに対話をデザインしていく。

〈ボンヌ・ソワレ〉は定期的に開こうと思います(何より自分のために)。基本的には夜が更けた頃の時間帯ですが、起きている人はぜひ遊びに来てください。一緒に哲学を学び、語り合いましょう。

次回の日程が決まり次第、お知らせします。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。