演出を考える
美しいものに触れる。
一年以上前に書いた「審美眼をどのように磨くのか」という内容の記事を、今でもよく読んでいただけている。長い時間、誰かの目に触れてもらえる文章があるというのは、わたしの中で一つの希望になっている。
美しさについて考えたり、触れたり、ことばにしたり。感性は日々の積み重ねの中で磨かれてゆくのだと今も思っている。ただ、それとは異なるアプローチにも価値はあるような気がする。
それが、演出。
物事を効果的に見せること。このことについて、もっと真剣に考えてみたい。それは、優れたもの、美しいものを持ってきて、しつらえるということではない。そこにある“素材”をどう見せるかを工夫することだ。
つまり、「在るものを生かす」という発想や方法になる。優れていないから、美しくないから“捨てる”のではなく、与えられた素材で価値を高めていく。切り口や見せ方によって、魅力を引き上げる。
その考え方の一歩目は「物事をおもしろがること」だと思う。おもしろがるから、魅力を抽出できるし、豊かな解釈ができる。“つまらないもの”だって、演出次第でかがやかせることができたりする。
人でも、モノでも、コトでも同じ。演出できる人は、相手の魅力を抽出し、最大化させる。価値を高めるためには、まず魅力に気付けないといけない。だから、おもしろがって世界を見ることは大事なのだ。
すべての人が、世界をコーディネートする演出家であれ。
手の届く場所だけでいいから。
きっと、豊かになる。
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。