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天赦日とひらく感性【Last Night オンラインバー vol.25】

〈空気の研究vol.9〉
【CafeBarDonna DJ Night】

9月2日は「天赦日」。天赦日とは、日本の暦の上で最上の大吉日とされており、新しく何かをはじめたり、挑戦するには最適の日だと言われています。

ぼくは「きっかけ」って大切だと思うんです。「そのことを強く信じる」というよりも、偶然目の前に現れたできごとを自分の人生につなげる力。昨日、ワタナベアニさんとホームレス小谷さんと一緒に食事をしました。小谷さんがアニさんに薦められて広島平和記念資料館を訪れた話があり、「そう、たまたまアニやんからのメールが記念館の最寄り駅で入ってん!」と小谷さんが言いました。その言葉に対してアニさんが「コタは、それが隣の駅でも〝たまたま隣の駅で!〟って言ってるよね」と返しました。

この会話には重要なポイントが入っています。小谷さんは「たまたま」と言いながら、あらゆる出会いを自分の人生のストーリーと結びつける力が強いのだと感じました。それってとても素敵ですよね。ぼくも「偶然の出会い」や「きっかけ」を大事にしたいと日頃から思っています。

「天赦日」のことを知らなくても、ぼくの告知した文章がきっかけで人が集まって出会えたり、それぞれの考えるきっかけになることができれば、「それがもうドラマだ」と。その日に突然、ポップアップCafeBarDonnaといってDJ Nightを開催するのも、「たまたまタイミングが合った」という意志ではどうにもならない領域にロマンを感じるからかもしれません。

昨夜は、そんな「たまたま集まったメンバーたち」とArt de Vivreの音楽を聴きながら、「新しくはじめたいことの抱負」を語り合いました。

はじまりの光

途中から入ったり、抜けたり、閉じられていながらも自由な空間で、一人ひとり「はじめること」を言葉にしていく。「はじまり」にはいつだって希望が宿っている。それがまだ形になっていなくてもね。

やはりクリエイターの集まる場所だからでしょう。「小説を書く」「アプリをつくる」「新たな音源にチャレンジする」といった「何かをつくること」の表明がきらめきながら並んでいきました。

「たまたま集まったメンバー」の前で、想いを共有することは決して悪いものではなく。その気軽さと、言葉にした瞬間に降りかかる質量はなんとも心地の良いもので。こういう「場所」も意味があるものだと感じました。

オンラインの良さ

「zoom飲みも良いけれど、やっぱり会った方が断然良いよね」という言葉をよく耳にします。それを否定する気持ちは全くありませんが、「オンラインの良さもあるだろう」と。つまり、オンラインでのコミュニケーションだからこそ満たすことができるポイント。リアルとオンラインは求めているコミュニケーションの本質が異なるのだと思います(あらためて、この内容で記事を書きたいね)。

それは参加者のたなかともこさんの問いかけにはじまりました。「実際に会って対面でのインタビューとオンライン上でのインタビューはどういう違いがありますか?」。「会ってみないと細かいニュアンスが伝わりづらい」ということはあります。でも、人間というのはおもしろい生き物で、驚くほどのはやさで環境に順応していきます。この数ヵ月で、多くの人が「オンラインでの振る舞い」を習得していきました。最初の頃は、参加者の声が重なったり、スムーズにいかない部分もありましたが、今ではわりとストレスなくコミュニケーションがとれています。表情もある程度読めるし、相手が何かを話そうとしていることを察知できる。それはぼくだけじゃなく、多くの人がそのような言語から離れたコミュニケーションをオンライン上でできるようになっています。すごいですよね。

他にもいろいろ異なる点はありますが、インタビューの場合でいうと端的に言えば文字数が変わります。オンラインの方が話者の言葉は増える。「どうしてだろう?」と考えた時に、個人的には「対面よりもエネルギー効率が良いから」という結論に至りました。家や職場など、リラックスした状態でコミュニケーションをすることになるので、エネルギーの消費が少ない。「仕事をした」という実感を得るために「もっと何か言っておいた方がいいんじゃないか?」という気持ちになるのだと思います。それはインタビュアーにも言えて、「十分に取材はできているけれど、もっと聴いておいた方がいいんじゃないか?」という、ちょっとしたお互いの想いが掛け算になります。

だからね、オンラインインタビューはとても便利なのだけれど、記事にするのは苦労が大きい。文字起こしだけで二時間のインタビューだと平気で五万字を超えたりする。これだと、体が持ちません(書籍にするなら別ですが)。そこはまだ人類がオンラインに適応する発展の途上なのだと思います(インタビューにおける)。感覚が掴めてくると、コンパクトに収まっていくように思います。

たなかともこさんはアメリカのソルトレークシティ在住で、十年前からオンラインでお仕事をしたり、それらのツールを一つの主軸としてコミュニケーションをされています。とにかく、ぼくたちとは経験値が違う。最初にオンラインでお会いした時も感じましたが、相手の呼吸を読んだり、アシストになるような言葉運びが巧い。もちろん、もともと持っている傾聴力やコミュニケーション力、聡明さや人間力などが盤石の土台としてあるのですが、随所にオンラインテクニックが光ります。

オンラインに置く言葉

「オンラインにしかない長所ってあると思うんです。まだうまく言語化できていないですけど」とぼくが言うと、「オンラインにしか置いていけない言葉があるんです」とともこさんはお話になりました。「家族や親しい友人には言えない(言う必要のない)ことでも、実際に会うわけではない分、オンラインの人には言いやすい」。確かにそうだ。「リアルの生活とオンラインの世界は分断されているわけではなく、地続きにあるのは確かで。その繋がった遠くの場所で交わせる言葉やコミュニケーションに救われている部分があります」。録画していたわけではないので、正確ではありませんが、そのようなことを話していた。「マトリックスみたいな感じです」と言って明るい笑顔を見せるともこさん。

すごくよくわかる。上手に言語化するなぁ。ぼくたちは、リアルでも語り合えるし、noteでもテキストベースの交流ができるし、オンラインで映像を通して、あるいは、音声だけでもコミュニケーションができる。別の世界が、別の形で、複数に広がっている。でも、それは木の根っこみたいに全てつながっている。その感覚にドキドキした。

ここから大事な内容になっていくのですが、文字数と時間がやってきたので、いつかまたこのお話の続きを書きたいと思います。感覚と論理、それらを言語でつなげる、個人的に最高にドキドキするお話です。

〈空気の研究〉

Art de Vivre(嶋津亮太とカジサキモトキによる文学と音楽のユニット)がお届けするDJ Night(空気の研究)は主に、前触れもなく夜中に開かれます。音楽と対話の関係性を考える上での、仮説と検証を繰り返すための実験です。毎回、対話を支える(臨場感や心地良さ)音楽の効果のデータを採り、閉店後にフィードバックします。オペレーションを含めて、次の改善点を洗い出し、小さなアップデートを重ねていく。そのようにして、「場づくり」の研究をしています。

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