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タイムカプセル

大抵のことは、仕事から学ぶ。

とある企業の動画制作におけるボディコピーを考えていた。そこでD&Iという概念を知る。「Diversity & Inclusion」と言って、個人を尊重し、多様性を受け入れる姿勢のことを示す。そこに「Equity(公平性)」が加わり、一人ひとりに応じた機会やリソースを提供し共有してゆく組織の在り方が見えてくる。

時代の流れの中にわたしたちは漂っていて、なんとなくその潮流が読めてくる。ジェンダーやウェルビーイング、サステナブルの文脈から、おそらくD&Iという概念も一般化されてゆくのだろう。

大事なことは、現在から未来のベクトルに進む中での適切な“ことばの配置”だ。ある人にとってはD&Iは常識かもしれない。ある人にとっては潜在的な望みの発露となる考え方となるだろう。だが、ある人にとっては何を示すのか全くわからない。ムーブメントの黎明期におけることばの選択は、慎重になる。

たとえば、「一人ひとりの違いを受け入れ、それぞれが活かし合う」ということばを選んだとする。その概念を知らない誰かに伝える時、平易でわかりやすいかもしれない。ただ、その概念が一般化した時に、響き方が変わってくる。それは、検索窓に打ち込んで現れたことばと変わらない。そこに独自性は感じられない。

では、どういうことばを選ぶのか。知らない誰かにも伝わり、且つ自然とこころに残ることば。そのためには、“今”を知らなければいけないだけでなく、“未来”の現状も想定しなければいけない。その時にヒントになるのが、組織の理念であり、ビジョンだ。じっくりと内側を発掘してゆき、源泉を辿る。そのエッセンスをことばに込める。ある時にはドラスティックに、ある時にはポエティックに、ある時にはシンボリックに。

今、相応しいことばは何か。
そして、未来に新たに響くことばは何か。
ことばは、タイムカプセルにもなり得る。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。