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アイデアの生まれるアタマ

アイデアというのは、「何か」と「何か」の組み合わせ。

そういう話をよく耳にします。ぼくも、今までそのように話したり、書いたりしてきたことがあります。それは確かに事実であると思います。ただ、そうは言いつつも、それだけでは実践的なアイデアとしてなかなか機能しないというのが現実です。

ぼくが大事だと思うのは「状態」です。アイデアが生まれる状態をつくっておくこと。畑でいうところの、土づくりです。痩せた土だと、そこにいくら良質の種を植えても、なかなか芽が出ません(時に、痩せているからこそたくさましい植物が育つということもありますが)。栄養分や微生物たっぷりの肥えた土には、そこで自然と生態系の循環がはじまり、互いが作用しながらそれぞれの種が育っていきます。他には、十分な日差しが届くのか、あるいは、適切な量の水と栄養分が行き渡っているのか、など。そのような「状態」をしつらえることが大事です。

「何か」と「何か」を掛け合わせることでアイデアが生まれるかもしれませんが、そのシナプスの連結が同時多発的にスパークするアタマの状態に目をやることも大切です。

たとえば、「おもしろい人」とできるだけ話す時間を増やしてみる。人間は、驚くほど環境に適応する生き物ですから、アイデアがたくさん浮かぶ人と接触する時間を増やすだけでも、自分のアタマの状態を引き上げる効果があります。ユーモアにしても、ロジックにしても、突出した人と共に時間を過ごせば、空気を味わえば、思考する過程を追体験すれば、視点を獲得すれば、それだけでアタマ(土)の質を上げ、整えることにつながります。

コミュニケーションにしても同じこと。話していることばに注目するだけでなく、聴いている姿勢を観察することも大事ですし、息と間を体感することでわかることがあります。むしろ、ことばにならない領域の方が情報量は多い。そこに「自分」を順応させていく。

だから、「アイデアが出ない」ということはない。ぼくは、そう考えています。今、アイデアが出なくとも、アイデアが出る状態をつくればいい。湯水のごとくアイデアを出す人のそばで引き上げてもらう、アタマをならしてもらうこと。「ならす」は、「慣らす」であり、「均す」こと。

最初は大変だろうけど、時間はかかるかもしれないけれど、ならすことができれば、できるようになっていく。そう、焦らず、でも、一歩踏み出すきっかけになれば。そう思って、今日も文章を書いています。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。